歳をとっても旅が好き

海外ひとり旅の記録?いや記憶かな

インドひとり旅(1997年) <4> 2日目 カルカッタ(Calcutta)の街をあるく

<2日目ー1
1997年11月13日 木曜日 カルカッタ 晴れ一時雨

<Mさんとの出会い>
朝、雨が降っている。部屋から再び現地エージェントに電話する。
列車はOKだと。依然「waiting」だが、いつもこの位なら大丈夫だと。
いつOKだと判るのかとまた聞くと、駅に行けば大丈夫らしい。
私の拙い英語ではよく理解が出来なかったが、彼らは夜のPM10:40に、見知らぬ街の、どのように行けば良いか判らない駅に、乗れるかどうか判らないまま大きな荷物を背負っていくことが、特段のことでは無いと思っているらしいのだけは判った。
乗れなかったら帰ってくればいい、チケットはOKなのに駅に行っていなかったらチケットが無駄になってしまうとくどくどいう。
そういうシステムらしい。

Lyttonホテルのレセプションでミールクーポンを貰い、ダイニングで朝食をとる。この朝食は宿泊料にincludedだ。
トーストとティー。薄いパンでカリカリに焼いてあり、バターも日本のものより味が濃くておいしい。

食べながら前を見ると、朝食には遅い時間だったのか、他に客はおらず、茶髪を長く伸ばした若い男性が一人しかいない。どう見ても日本人のようだ。少し情報をもらおうと声を掛けた。
それがMさんだった。

話を聞くと、彼も初めての海外旅行で、しかもインドだと。来てはみたが、さてこれからどうしようかと思案していたところだったらしい。
もしかしたら同じ飛行機で来たのかもしれないと聞くと、彼は愛知県の人で飛行機の便も違うらしい。でも日本の旅行代理店は、インド旅行の1泊目はこのホテルを設定するのが多いのかもしれない。

一緒にカルカッタを回ることにした。
Lytton Hotelをチェックアウト。エージェントにした電話代Rs 10(約35円)を請求された。

<カルカッタの街を歩く>
昨日は判らなかったが、チョーロンギー通り(ChowrongheeRd.)を曲がる横にあった鬱蒼とした大きな建物はインド博物館(Indian Museum)で、ホテルの前の道は有名な安宿街のサダルストリート(Sudder St.)だった。
Lytton Hotelの向かいは救世軍(Salvation Army)のやっている宿泊施設、Redshield Guest Houseだ。

Mさんとホテルを出て、サダルストリートをチョーロンギー通りと反対の奥へと歩いて行った。
彼はガイドブックを持っておらず、私の持っていたガイドブックを見て、これからひとりでインドを廻るので買っておきたいと言ったのだ。

通りの周囲には横道が多く、ゲストハウス(Guest House)が多く建ち並んでいる。
サダルストリートがFree School St.に突き当たる左角に、本屋があった。
表に並んだ棚に、旧い「地球の歩き方 インド」が何冊か並んでいた。多分日本の旅行者が売り払っていったものだろう。それをMさんは安い値段で手に入れた。

サダルストリート(ガイドブックの地図)

チョーロンギー通り(ガイドブック地図)

カルカッタの街を歩くのにも、まず手始めにチョーロンギー通りを歩いて、ヴィクトリア記念堂(Victoria Memorial)に行こうと言うことになった。

私は白いティーシャツの上に青いシャツを羽織り、下はチノパン姿。背にはサブザックひとつだが、Mさんは胸にアメリカ国旗が描かれた白いティーシャツに、腿の辺りに外ポケットが付いた薄茶の作業用の様なズボンを引きずるような長さで穿いている。
背中にはシュラフを括り付けた大きなリュックサックを背負っている。しかもパッキングが上手くないのか、リュックサックが後ろに引っ張られて肩からずり落ちそうだ。

チョーロンギー通りに地下鉄の駅があった。
カルカッタに地下鉄があったのかと驚いたが、物珍しいので乗ってみることにする。でも通路やフロアに物乞いや浮浪者が沢山寝ているのかなと疑心暗鬼だ。
通りから階段を下りて入って行くと、此処は「SW.Park.st」駅。

地上は道路もバスも混雑しているが、意外にも地下鉄は空いている。薄暗いが重厚な石造りの駅だ。物乞いも居ない。しかもひんやりして気持が良い。
窓口で「Rabindora Sadan」 までと言って、チケットを買う。Rs 2(約7円)。

カルカッタ地下鉄の切符


<ヴィクトリア記念堂(Victoria Memorial)に行ってみる>

僅か2駅先の「Rabindora Sadan」駅で下車。
地上に出ると、フーグリー河沿いに広がる広大なマイダーン(Maidan)という公園の角に、白亜のドームを持つ「ヴィクトリア記念堂」(Victoria Memorial Hall)が聳えている。
昔カルカッタはイギリスの植民地インドの最初の首都だったので、君主ヴィクトリア女王を記念して作られたのだろう。

ヴィクトリア記念堂

公園に入ると、放し飼いにされた?いやどう見ても野良馬?二頭が、周囲の車や人の喧騒にも知らん顔で草を食んでいる。
Mさんが思わず駆け寄ってみるが、馬は別に動じる様子も無く、一緒に野良馬と記念撮影をする。こんな大型の動物が野良状態で街中にいるのは、あっけにとられるばかりだ。

町中にいる野良馬

中に入る前に、Mさんのリュックサックを見て荷物が重くないかと聞くと、やっぱり重いらしい。ならばと、公園の片隅でリュックサックを降ろすように言って、ザックの中身を出し、パッキングをやり直す。
直ぐに使わないシュラフなどをザックの底に入れ、重いものを上にして、左右に揺れない様詰め直した。
学生時代に山に行くとき、キスリングでパッキングをやっていた要領だ。荷物の重量は変わらないが、身体に感じる負荷は幾分か軽くなるはずだ。

広い前庭に入ると、ベンチにカラスがいっぱい止まっている。通るのを躊躇するが、ピンクの服を着た幼い女の子が、怖がりもせずベンチの側に近づいて手で追い払っている。すごい!インドって、人と動物や鳥との距離が近いんだなァと改めて感心する。
広い前庭を通って、ふたりで「ヴィクトリア記念堂」に入る。

Rs 2(約7円)の入場料金を払って入るが、カメラの持ち込みは不可だと書いてある。
入口で係官が、わざわざ入場者の列をチェックしている。しかし私はズボンのベルトにコンパクトカメラをケースごと通して付け、上からシャツの裾を出して着ていたので係官も気付かぬまま通してくれた。

厳重なチェックにも関わらず、中は歴代インド総督の肖像画や、旧いピアノや家具が手入れもそのままにガランとした巨大な部屋の中に置かれているだけだ。まるでインド総督が、独立運動に恐れをなして慌てて逃げだした跡のような印象だ。
特段写真を撮りたくなるようなものもない。