歳をとっても旅が好き

海外ひとり旅の記録?いや記憶かな

南インドひとり旅(1999年) <11> まだまだ4日目 南インドの食事「ミールス」を食べる

<4日目ー3
1999年 2月23日 火曜日 カニャークマリ 晴れ
カニャークマリの海岸のガートで出会った、マドラス(チェンナイ)でサザン・レイルウェイ(Southern Railway)のA/Cコーチの車掌をしているという、ジョンとその友人と一緒に散歩している。

<「Hotel」で、ジョンたちとミールスを食べる>
島から帰って、一緒にランチを食べようというと「HOTEL」と書かれた小さな食堂のような店に入っていく。入口には「Meals Ready」と書かれた看板が出ている。

はじめHOTELに併設されたレストランかと思った。しかしこんな仕舞屋(しもた屋)の様な小さな木造家屋に、客室とは別にレストランなんかあるのかと訝しく思ったが、入ってみたら普通の町の食堂だ。
ジョンに「Is this Hotel?」と聞くと、南インドでは食堂のことをHOTELというらしい。

中に入ると、隅にある水道で手を洗い、席に着く。地元の人が食べる「ミールス(Meals)」(定食)を注文する。
ウェイターが二つ折にした大きな青いバナナの葉を持ってくると、テーブルの客の前で開く。すると客は、各自錫製のコップに入った水を掌に受け、バナナの葉の上に少し振り撒き、それを満遍なく葉の上に広げる。
葉の上を拭いているのかも知れない。私が水を多く零したら、余分な水をジョンがテーブルの下に捨てて呉れた。

ウェイターが来て、バナナの葉の上に2種類の漬物のようなもの(味もそれに近い)を置き、真ん中に白いプレーン・ライスを山盛りにした。別の錫製の容器にカレーが入っているのを持ってくる。

ジョンや友人は、カレーをライスの上にかけ、手で掻きまぜる。私が見ていると、スプーンを貰おうかと聞くので、いらないと言い、手で食べ始める。しかし、なかなか上手く掬えず、口の中に持って行く時こぼれてしまう。
ジョンが親指を押し出して食べるやり方を、やって見せながら教えてくれる。
味も辛くはなく、美味しい。唐揚げのチキンもうまい。はじめは水道の水で拭いたバナナの葉って大丈夫かなと心配だったが、食べ始めたら忘れて仕舞った。

何度でもお代わりが可能だそうで、ジョンの友人はお代わりをしていた。
ウェイターがテーブルを廻りながら、食べ物の少なくなったバナナの葉には黙ってライスを盛りつけて、錫製の容器にはカレーも継ぎ足してくれる。日本の「わんこそば」の要領だ。

終わりのときは、バナナの葉を二つに折りたたんでしまう。これをしないと、また継ぎ足されてしまう。
最後に、使い終わったバナナの葉は自分でゴミ箱に入れ、再び水道で手を洗い食事が終えた。
すごく清潔で、合理的なやり方だ。
ミールス(チキン付き)Rs32(約112円)×3人=Rs96(約336円)。
ミネラルウォーター(1.5L)Rs20(約70円)
コークRs5(約18円)

<アラビア海の夕日、南インドは心が溶けてしまいそう>
食事のあとジョンたちと別れて、HOTELに戻ろうとしたら道に迷った。小さな村なので道はすぐ分かると安直に考えていた。
道ですれ違う女性達にホテルの方向を聞きながら歩いていると、途中でまた散歩中のジョンたちと出会った。「ヤァ!」と言いながら、笑って、握手をして別れた。

立ち去って行くジョンと友人の姿を見ながら、正直驚いた。
南インドは、あの北インドとはまるで違う世界だ。初めはあると言っていたホテルの部屋が、慣れない旅行者と見るや急に「Full」にして高い部屋を吹っ掛けようとしたり、遺跡では頼みもしないのに説明をはじめ高額な料金を請求されたり。
北インドは、親切心からと思うサービスはいつも有料で、高額で、それを値切るのに大汗をかいてしまう世界だ。
それが南インドではまるで違う。なにか、こころが溶けて仕舞いそうな気がする。

HOTELで暫く寝た後、夕方5:00頃Sannathi Streetを通って岬の先端まで行ってみる。海岸のガート(Ghat)に出ると、既に人が一杯だ。
老若男女、色とりどりのサリーやシャルワール・カミーズ、スカート姿の女性たち、シャツにズボンの裾を捲り上げて波打ち際に入って行く男性。砂浜にしゃがみこんだ子供たち。
夕日がアラビア海に沈んでいく。みんなが西空を見上げている。
曇っていたので太陽が水平線に沈む神々しい姿はなかったが、ぼおっとした光が水平線に消えるまで眺めていた。

ガートに集まりだした巡礼者たち

岬の先端の浜には多くの人が集まっている

夕日をみんな眺めている

アラビア海に沈む夕日

日が落ちて薄暗くなった海岸で、白いティシャツにジーパン姿の日本の若い女性が独りでいたので声を掛けると、唐突に手にしていたリュックサックを差し出して、荷物持っていてくれないかという。トイレにでも行くのかと思って預かると、サッサとひとりで服のまま海に入って仕舞った。
見知らぬ人に荷物を持ち逃げされるかもしれないとは考えないのかなぁと思いながら、それでもバカ面して出てくるのを待っている自分もバカだなぁと思いながら佇んでいた。
漸くして上がって来た女性に荷物を渡すと、別れてホテルに帰って来た。

19:00、ホテルのレストランで食事。マシュルーム・マサラ、グリーンピースのフライドライス、アイスクリーム、コーヒー。
食べ過ぎかな。
夕食(HOTELのレストラン)Rs100(約350円)。