歳をとっても旅が好き

海外ひとり旅の記録?いや記憶かな

インドひとり旅(1997年) <19> まだ10日目 「寿限無」じゃないよ、リキシャワーラーとの攻防

<10日目ー2
1997年11月21日 金曜日 ニューデリー(NEW DELHI)  晴れ

<オートリキシャのワーラーとの攻防
絵葉書を出しに行ったGPOから今日checkinしたYWCAへ戻ってきて、YWCAの前でさっき声を掛けて来たオートリキシャのドライバー(ワーラー)に、ガイドブックをコピーして来た地図を指して、Central Cottage Industries Emporiumへ行ってくれと言った。
料金はRs.10(約35円)だと。

ガイドブックをコピーして来た地図

そこはガイドブックに出ていた官営の民芸品店の様で、そこで何か日本への土産物を買おうと思っていた。
場所はJANPATHにあるはずで、YWCAからはAshoka Rd.を真っ直ぐ行ってWindsor Placeを左折して、JANPATHを北に向かって行くか、Ashoka Rd.をPatel Chowkに行く手前を左折してJaisingh Rd.を進んで、サンサッド・マルグを横切ってTolstoy Margを行き、JANPATHとの交差点まで行けば容易に着きそうだった。
しかしオートリキシャは、回り道をするのか住宅地の中に入っていく。

泊まっているYWCAのあるサンサッド・マルグ(Sansad Marg)付近は、良くデモ行進を行っていて交通規制が敷かれることがある。
はじめはそのせいかと思って居たが、突然背中越しに「Central Cottageは高い、もっと安いところがある」という。
いやな予感がした。高い安いではない、私はCentral Cottage Industries Emporiumへ行きたいのだと、「I want to go to Central Cottage Industries Emporium. 」と言う。本当は、「高い安いじゃない!!」と言いたいのだが、英語で何て言って良いのか分からない。
真っ直ぐ向かえばいくらもかからない場所にあるはずなのに、方向違いのこんな住宅地に入り込んできたのは、交通規制のための迂回などではなく、もしかして私の言った店ではなく、勝手にどこかの土産物店にでも連れて行く気なのではないかと思い始めた。
客が行きたいと言うところに行かず、了解も無く勝手に道順を変えるなんてと、次第に腹が立って来た。

唯でさえ酷い英語の発音で、この長い名前を繰り返し言うので、初心者丸出しでドライバーはせせら笑っているだろう。それを思うと、余計に腹立たしい。
意地のように「Central Cottage ・・・」を何度も繰り返えすのは、自分でもまるで落語の「寿限無」の様だと思いながら、こんなバカをやる羽目にさせたリキシャワーラーには、さらに腹が立った。

暫くして、民家の建てこんだ路地でオートリキシャは停まった。目の前の、少し大きめの民芸品店を指し、ここだという。
看板には「Cottage Industries Emporium」とある。
びっくりした。
同じような名前だが、頭の「Central 」だけすっぽりと抜け落ちている。
こんな名前の店が、本当にあるんだ!!
まるでお笑いの、コントのシチュエーションのために作られた舞台セットの様だ。

あきれると同時に、無性に腹が立って来た。
多分此処なら、リキシャワーラーにキックバックがあるんだろう。客だって同じ様なものを安く買えるんだから良いだろうと。
しかし高い安いじゃない。客の依頼したところに行かず、勝手に行き先を変更したことが腹立たしくてならない。自分の注文が蔑ろにされたことが悔しくてならない。
「馬鹿を言うな、There's no "Central“ in the name.」「ちゃんとここへ行け!」と英語と日本語で言って、Rs.10(約35円)をおいて降りる。

すると、客の意外な反応に驚いたのか、「判った、乗れば行く。但しあとRs.10だ」と言う。
馬鹿げた言い草に更に腹が立ったが、大声で言い争ううち、人だかりがしてきたので、取りあえず再びオートリキシャに乗った。
争いの原因を、取り囲む野次馬に英語で説明する技量は無い。
住宅街を抜けて大通りに出ると、また停まって、「見るだけ、チープ」と今度は日本語で言う。何だ、こいつ日本語が分かるのか?!
馬鹿野郎と、オートリキシャを降り、すたすた歩き出す。暫く行くと、あきらめたのか行ってしまった。

<Central Cottage Industries Emporiumへ
勢いで降りてしまったが、ここがどこか判らない。
通りすがりのオートリキシャを停め、Janpath RdとJan Tolstoy Rd.のぶつかる所を地図で指し、ここだ!と言って乗る。Rs35(約123円)掛かったが、今度はきちんと着いた。

Central Cottage Industries Emporiumは茶色の高層ビルだ。別の店に連れて行った最初のオートリキシャのドライバーが言う通り、いかにも高そう。入り口に守衛が立っていて、ドアを開けてくれた。
中でお土産用に民芸品の小物を買う。
腕輪(3個 Rs.714 約2,499円)、シャツ(Rs.264 約924円)、ハンカチ(4枚 Rs.48 約168)、木製のスプーン他(Rs.155 約543円)、土器の皿に入ったキャンドル(3個 Rs.115 約402円)、木製の化粧箱(4個 Rs.147 約515円)を買う。
確かに、高い。しかも、どれもこの店でなければ手に入らない様なものでもない(笑)。「Central」の付かない店なら、多分この半額以下だったかもしれない。 

Central Cottage Industries Emporiumでの買い物のレシート

店を出て、帰りはコンノート・プレイスの外周道路Connaught Circusに向かって少し歩くと、チベットの物産を商っている店が軒を並べている。そこでチベット風のバッグを買った。Rs.35(約123円)
オートリキシャを拾ってYWCAに戻って来た。Rs.35(約123円)。

帰ると、YWCAの前にあのオートリキシャが止まっていた。
彼の方に歩いていき、「I don`t believe you!」と指差して言った。後で聞くとインドで指差しは禁物らしい。

今PM4:00、日が翳り始めた。寒くなっている。デリーDELHIは寒い。
窓の外に烏の巣があるらしく、飛び立つ時ガラス窓に当たり、大きな音を立てる。
NEW DELHIはCALCUTAに比べ、街も建物も綺麗だが、馴染めない。
PM5:30、辺りは真っ暗。しかし、自動車のクラクションの音が絶え間なく聞こえる。YMCAのDining Roomで夕食。チキンサンドイッチ(Rs30)、coffee(Rs10)他でRs.60(約201円)。こちらのYWCAは朝食だけ付いているが、夕食は別料金だ。
浴室にはヤモリの出てくる頃だ。考えてみればヤモリのいなかった浴室なんてあったっけ?
暫らくランドリーに出していないので、また下着が無くなってルンギーで寝る。
また、下痢になりつつある。