<22日目ー3>
2018年 6月4日 月曜日 シラク―サ晴れ 暑い。27度。
<シラク―サ・オルティ―ジャ島>
ギリシアのパトラから5日間、夜行と一泊続きで溜まった洗濯物を、ようやくランドリーに出すことが出来た。
ここからはホテルに戻らず、シラク―サの街から旧市街のあるオルティージャ島(Isola di Ortigia)に行ってみることにする。
ウンベルト1世大通り(Corso Umberto 1)からウンベルティーノ橋(Ponta Umbertino)を通って、オルティージャ島へ渡る。ここから真っ直ぐ進めば、多くの観光客が集まるドゥオモ・デ・シラク―サ(Cattedrale metropolitana dellaNativita di Maria Santissima)のある旧市街(Citta Vecchia)だ。
しかし私は島の縁を周るミッレ通り(Via dei Mille)を右に曲がって進み、突き当りを左に曲がった。
すると、グランデ港(Porto Grande)沿いのフォロ・イタリコ(Foro Italico)と言う、映画「マレーナ」のロケ地にもなった美しい海岸に出た。
映画「マレーナ」は2000年公開のジョゼッペ・トルナトーレ監督のイタリア映画。
第二次大戦中のシチリア島を舞台に、12歳の少年レナートの憧れであった主演のモニカ・ベルッチ扮するマレーナが、戦争で夫を失い生活の糧を求めて男たちに身を投じて行く様になる。時代の波と周囲の誹謗中傷に晒される彼女を、幼いレナートは遠くから見ているしかない、切ない物語だ。しかしそこに出てくる風景は美しい。
この映画は偶然に見たものだが、そのシチリアの生活感と共に風景に魅せられてしまった。
海岸に沿って植えられた緑地帯の向こうに頭を覗かせているのは、旧い石作りの旧市街だ。ドゥオモをはじめバロック様式の旧い建築物の並んだ通りには、多くの観光客が訪れているのだろう。
しかし目の前に開けた海岸に打ち寄せるのは、エメラルドグリーンの澄み切った海。この美しい海岸をゆっくり散歩し、僅かな人しかいないベンチに座って目を閉じる。昨晩の夜行バスと今までの旅の疲れで、身体がベンチに沈み込む様な気がする。随分遠くまで来た。次第に瞼が熱くなる。
暫らくして目を開けると、海は陽の光の中でえもいわれぬくらい美しい。
最後は、海岸に在りながら淡水にしか生えないパピルスが自生する、アレトゥーザの泉(Fonte Aretusa)まで行ってみる。旧市街(Citta Vecchia)には行かずにこのまま戻ろう。
帰りはサンタ・ルチア橋(Ponte Santa Lucia)を渡って戻ろうとすると、途中の小島にアルキメデスの彫像が建っている。「アルキメデスの原理」で有名な数学者。シラク―サは彼が生まれた場所だ。ローマとカルタゴとの第二次ポエニ戦争の渦中で、新兵器を考案してローマ軍と戦ったのも、ローマ軍に殺されたのもこの地だった。
シラク―サに足を運んだのは、このフォロ・イタリコの景色が見たかったのと、もう一つは、紀元前シラク―サはギリシア最大の植民都市のひとつであり、カルタゴ最盛期の時代は、シラク―サがシチリアでカルタゴと拮抗する大勢力だった。その地を歩いてみたかったからだ。
明日はそのギリシア・ローマ時代の遺跡が残る地域に行ってみよう。
14:00頃ホテルに戻って、シャワーして裸のままベッドに横になったら、寝てしまった。
気づいたら15:40。
18:00頃、今度は夕食を食べに出る。しばらくメイン通りのVia Le Luigi Cadornaを歩く。BARはあるが、どこも所在無げに男性たちが屯している。そうこうしていたら、右手にピザ屋があった。
入ると家族連れが、注文のピザを持ち帰るところだった。
此処で注文すると言うことが思い浮かばず、ついガラスケースに入っている、小径のピザ生地にトマトソースとチーズが乗っただけの出来合いのピザを頼んでしまった。
店のテーブルで食べるが、案の定美味くない。固いし味が無い。一緒に頼んだスプライトで流し込む様に食べる。
テーブルの上の品書きにはいろいろな種類のピザが書いてある。良し、明日再チャレンジしてみよう。
エスプレッソのコーヒーも頼んで、3€(約400円)だった。
帰りに雑貨屋に寄り、念願だったティッシュペーパーを買う。日本製か中国製どっちが良いと言われ、日本製を選ぶ。1€(約135円)。
もうトルコで買ったものが、最後の一個になっていた。
ホテルに戻って、歯を磨き、シャワーする。顔を洗いながら、頰がこけているのにドキッとした。
このところの移動続きの日程のせいか、きちんと食事が出来ていないせいか。