歳をとっても旅が好き

海外ひとり旅の記録?いや記憶かな

ミャンマーひとり旅(2017年) <25> 9日目 ヤンゴンに来たら、やっぱりシュエダゴン・パヤーに参拝

<9日目ー1
2017年 5月30日 火曜日 ヤンゴン 雨時々曇り 涼しい。
ヤンゴン到着、3日目。

<シュエダゴン・パヤーに参拝>

昨晩眠れず、うつらうつらしているうちに7:30になった。眠いが起きて、エレベーターで7階のダイニングに朝食を摂りにいく。
いつものパンとコーヒー、目玉焼きと乾いたようなソーセージ。野菜は殆ど無い。
美味しいとは言えないが、それでも大分食べられるようになってきた。昨日、夕飯らしいものを食べていないせいもあるかなぁ。

しかしホテルの値段の差って、一番よく表れるのは朝食の内容じゃないかとつくづく思う。
モウラミャインのシンデレラ・ホテルは1泊$55で、いまのホテルは1泊$36だが、明らかに違うのは朝食の内容だ。
これは日本国内でも感じていて、現役のとき仕事で各地に出張で行って泊まったホテルでも、いつものビジネスホテルではなく、たまに安い価格で予約が取れてシティホテルに泊まった時など、部屋の広さやベッドの質などより朝食に違いが一番現れる様に思っていた。大淀川の河畔に建った宮崎観光ホテルなんて、良かったなぁ(笑)。

今日はティーシャツを替え、昨日濡れたズボンを履き替える。いつものウェストポーチに、折り畳み傘を入れたサブザックを背負って行く。
身支度をして、9:30過ぎホテルからタクシーで、ヤンゴンはもとよりミャンマー最大の聖地と言われるシュエダゴン・パヤー(Shwedagon Paya)に行く。天気は今日も雨模様だ。束の間上がるが、またザーと強い雨が降る。
タクシー代は2,000ks(約160円)。

ヤンゴンは、1754年ビルマ族のコンバウン朝(Kon baung Dynasty)が、当時「ダゴン」と呼ばれていた川沿いの一村を占領し、「ヤンゴンYangon」(戦いの終わりの意味)と改名したところから始まったが、その村にはビルマ最大の仏塔「シュエダゴン・パヤー」があり、当時からその門前町として有名だったようだ。

シュエダゴン・パヤーは、約2600年前、釈迦の存命中にインドを旅したタポウタとパッカリという二人の商人が、釈迦から8本の聖髪(頭髪)を授かり、オカラッパ(Okkalapa)(現在のヤンゴン市の地区名)に安置するよう言われ、ミャンマーに持ち帰って納めたパヤーと言われている。

境内のテラスへは、東西南北の門から入り、階段やエスカレーターを使って上るが、私は巨大な2頭の白いチンシー(Chinthe 獅子像)に守られた西門から入った。
入場料6,000ks(約480円)。ミャンマーでは普通寺院は無料だから、多分これは外国人料金だったのだろう。
入口で、履物と靴下を脱ぐ。無料らしい下駄箱があるが、大理石の廊下の途中に有料の預かり処もある。しかし私は持参したプラスチックの袋に包んでからサブザックに入れ、持ち歩いた。預けると、入った門からしか出られない。

パヤー全体が海抜60mの丘の上にあるので、MITSUBISHI製のエスカレーターに裸足で乗り、上まであがる。勿論階段もあるが、殆どの人はエスカレーターに乗っている。しかしエスカレーターに裸足で乗ったのは初めてだなぁ。

門を守る、巨大な2頭の白いチンシー

エスカレーターに裸足で乗ったのは初めてだ

外に出ると、一面白い大理石の広大な敷地の中に見渡す限り大小の仏塔が立ち並び、それぞれの塔に穿かれた祠があり、その中に仏像が祀られている。
雨季に入っているので、さっきまで土砂降りだったのに、綺麗に着飾った老若男女が驚くほど沢山歩いている。
外国人もいるが、殆どはミャンマー各地から来た人々の様だ。
ちょうど雨が上がり、下に敷かれた白い大理石が水溜りで鏡の様になり、そこに中央に建つ黄金のストゥーパ(Stupa)が映えて、文字通り眩いばかりに美しい。
「シュエダゴン」とは、「シュエ」は「金」の意味で、「ダゴン」はヤンゴンの古称だ。
モウラミャインでもムドンでもパヤー(Paya)には足を踏み入れたが、正直其れ程美しいとは思わなかった。しかし目の前の伽藍は、雨上がりのせいか、しっとりした風情で取分け美しく感じられる。

中央塔の黄金のストゥーパは、高さが100m。頂上の傘(Umbrella)の上に旗の形の風見(Vane)があり、最頂部には76カラットのダイヤモンドが嵌めこまれたダイヤモンドの蕾(Diamond Bud)が輝いている。周囲は金のプレート8,688枚、ダイヤモンド5,451個、ルビー1,383個が付けられている。いずれも民衆の寄進によるものらしい。

雨の中のシュエダゴン・パヤー

中央塔の黄金のストゥーパ 周囲の祠には、各曜日の守護神が祀られている

それぞれの仏に手を合わせながら、中央のストゥーパの周りを回っていると、またポツポツ雨粒が落ちて来た。濡れた大理石は良く滑るので、抜き足差し足でお堂の中に避難し、雨宿りだ。
中には仏像に向かって祈っている小豆色の袈裟の僧、眼鏡を掛けて新聞を読んでいる黄色い袈裟の僧、これから捧げる花を持ってお互いの写真を撮り合っている家族、白いシャツにロンジー姿の若者。そして私。みんな雨の上がるのを待っている
大勢の人の只中だが、不思議にのほほんとした、春日の安寧のひとときだ。

雨宿りのお堂の中


<ミャンマーの人の宗教心>
しかし、ミャンマーの人にとって、宗教、仏教ってどんなものなんだろう。
今も目に残っているのは、モウラミャイン近くのムドンの町で、地方の寺院に寄った時だ。
小さなお堂の仏像の前で、横座りで熱心に拝んでいる中年の婦人がいた。私と目が合って会釈すると、脇を退いて私のために場所を空けてくれた。
向き合っていた仏にこころを残したような、それでいて他人の私にも大切な御仏を分かちたいと思っている様な、その時の姿や仕草。ただそれだけの無言のやり取りだったが、ミャンマーの人の宗教心というか御仏に対する愛情を強く感じた瞬間だった。

一方の私はと言うと、以前パキスタンへの旅行のためVISAの申請をしたとき、「Religion」(宗教)を記載する欄があって、「Buddhism」と記したが、違和感を覚えた記憶がある。
実際に、夜パキスタンのラホール空港に着いて、「スズキ」(日系のスズキ製軽ワゴン車のタクシー)に乗ってホテルに向かう途中、髭を蓄え、白い民族服のシャルワール・カミーズを着た年配のドライバーに最初に聞かれたのが、「What is your religion?」だった。
私はVISA申請書に書いたのを思いだして「Buddhism」と答えたが、直ぐに「But I am interested in Muslims.」と言った。
すると、ドライバーは大喜びで、運転中にも拘わらず両手でハンドルをバンバン叩いて喜んでいた。
「interested in Muslims」は、パキスタンに来たからと言う単なるリップサービスではなく、また本当にそこまでムスリムに興味があった訳でもなく、どうも「Buddhism」と言ったことに対する空虚感が嫌で、口をついて出た様な気がしている。
その位私の宗教観はスカスカなのかもしれない。
しかし、ミャンマーの人は違う。

現在のミャンマーの宗教は、2014年の国勢調査では、国民の88%位が仏教徒で、キリスト教徒が6.2%、ムスリムが4.3%、他にヒンドゥー教やその他らしい。
キリスト教は少数民族の人に多いらしく、特にバブティスト派(Baptist)が多いと。
これは1913年、英領ビルマのラングーンに上陸し、布教を始めたアメリカ人宣教師Adoniram judsonがバブティスト派の宣教師だったためらしい。
ビルマ族が信仰する仏教が分割統治政策で封じ込められていた中、1827年カレン(カイン)人の改宗から始まって、チン族、カチン族などに信徒を獲得していった様だ。

雨の勢いが収まり、小降りになるとみな外に出て行く。
ミャンマーの人は大体、雨に濡れるのを余り嫌がらない様に見える。小雨なら傘もささず平気で歩いているし、土砂降りの中傘をさしても相当濡れているはずなのに笑顔で歩いている2人連れなどを、路上で良く見かける。
黄金のストゥーパを一周して、同じ西門に降りて来た。

熱心に祈る人々


<ヤンゴン初のショッピングモールで優雅な昼食>
今日こそまともな昼食と、優雅なカフェタイムをとろうと、シュエダゴン・パヤーの西門前からタクシーで、ミャンマー最大のショッピングモール「ミャンマー・プラザ」に行く。
タクシー代を8,000ksと言うので、3,000ksと言ったら5,000ks(約400円)になった。
ドライバーは大柄で刺青をし、キンマで真っ赤になった口で喋るが、シュエダゴン・パヤーが美しかったと言うと、嬉しそうに何度も相槌をうっていた。

30分位で着いた。インヤー湖(Inya Lake)の畔に建つミャンマー・プラザ(Myanmar Plaza)は、2015年に出来たばかりで、中はまるでバンコクのショッピングモールの様だ。ミャンマーにもこんな所が⁈とびっくりする位の別世界だ。
インヤー湖は、1882年英領ビルマ時代ラングーン市に供給する水を貯水するために作られた人造湖(旧Victoria Lake)で、ヤンゴン市内で最も大きな湖だ。
インヤー湖を取り囲む地域は、ヤンゴンでも高級住宅街で、NLD(国民民主連盟 National League for Democtacy)を率いるアウン・サン・スー・チーさんの邸宅も湖畔にある。

此処ではまずスマホ通信のMPTのカウンターに行って、モウラミャインで入れ替えた3,000ksのSIMカードを10,000ks(約800円)に追加チャージして貰う。
カードを買って、コインで裏面を擦ると記号と番号が出でくるので、それを電話から入力するだけみたい。
カウンターのお姉さんから、なんでこんな簡単なこと自分でやらないのっ⁉︎みたいな目で見られた。確かに追加チャージのカードは、街中の至る所で売っている。

次は、雨続きのため出していたランドリーが出来上がって来ず、下着のパンツが無くなってしまったので店を探す。しかしミャンマーで一番おしゃれなモールの中は、おしゃれな衣類ばかりで、下着が無い。
何店か聞いて、ようやく買うことが出来た。しかし色はピンクや黄色で、ミャンマーの男性の好み⁉︎なのかなぁ。ちょっと考えたが、背に腹は代えられず買おう。3枚セットで、15,600 ks(約1,250円)。流石に「ミャンマー・プラザ」プライスだ。しかし製造国名は分からなかった。

お昼時なので、今日はミャンマー初の出店と言われるKFCで昼食。
モールの中にはいろいろ店があるけれど、今のところモウラミャインの下痢と嘔吐がトラウマで、ローカル系はちょっとなのだ。
スパイスは?と聞かれ「トラディショナルで」、フリスビー?と聞くので、「Yes」と。2ピース、ポテト、コーラのセットで4,000ks(約320円)。こちらはお手頃価格だ(笑)。

そのあとは、優雅なお茶の時間。
VICTORIA coffeeでカフェラテ2,625ks(約210円)を頼んで、Facebookやメールを見る。

ミャンマー最大のショッピングモール「ミャンマー・プラザ」