歳をとっても旅が好き

海外ひとり旅の記録?いや記憶かな

南インドひとり旅(1999年) <7> まだ3日目 マドゥライのミーナクシ寺院 

<3日目ー2
1999年 2月22日 月曜日 マドゥライ 晴れ
昨晩の夜行列車で、南インドの中心都市チェンナイ(Chennai)から525Km離れた、ドラヴィダ文化の中心地 マドゥライ(MADURAI )に着いた。

<ドラヴィダ文化の粋ミーナクシ寺院へ>
朝食を食べに出たついでに、このままミーナクシ寺院(Shree Meenakshi Temple)まで行ってみようと歩きだした。
寺院は、今朝降り立ったマドゥライ・ジャンクション駅や駅傍の今泊まっている宿と同じ、マドライを流れる聖なる河、ヴァイガイ河(River Vaigai)の南岸にある。

「Ruby Restaurant」からも東に歩いて行けば着くだろう。
西門に通じる道は、既に多くの人が行き交っている。遠くにゴプラム(塔門)が見える埃っぽい路を、ルンギー姿の男性や鮮やかな赤のサリー姿の女性、自転車、屋根に荷物を満載した自動車も通る。
途中の音楽テープ店で、カセットのMusic Tapeを2本買う。インド映画の音楽だ。インドのバザールでは、どこでも流行りの映画音楽が大音響で鳴り響いている。Rs.75(約263円)。

マドゥライの道の雑踏

ミーナクシ寺院のゴプラム

ミーナクシ寺院(Meenakshi Amman Temple)は、アルルミグ・ミーナクシ・スンダラスワラル寺院(Arulmigu Meenakshi Sundaraswarar Temple)とも云うらしく、この土地のドラヴィダ系土着神(女神)のミーナクシ(MeenakshiパールヴァティParvatiの1形態とみなされている)とその夫スンダレーシュワル(Sundaraswarar シヴァShivaの1形態とみなされている)、その子ガネーシャ(Ganesa)を祀っているらしい。ヒンドゥー教の神が土着の神様と融合した代表的なドラヴィタ様式のヒンドゥー教寺院だ。
創建は12世紀ごろだが、イスラムによる破壊もあり、16~17世紀にヒンドゥー教のナーヤク王朝時代に再建されたらしい。

実は名所旧跡があまり好きではない私が、珍しくもこれが観たくてマドゥライまで来た。
東西南北四方に、高さ40mから60mにもおよぶ巨大なゴプラム(Gopuram塔門)が聳えている。その全面には赤や青、黄色、緑と極彩色の神様の像がこれでもか!と折り重なるように飾られていて、日本の美のバランスや静謐さとは正反対の、過剰とも思えるエネルギッシュな魅力に溢れている。
この西門のゴプラムは、タミル・ナードゥ州(Tamil Nadu)の国章(Emanuel Andrade)にデザインされているほどだ。
寺院の塀越しにぐるりと回り込んで、正門の東門から入った。

ゴプラム(Gopuram塔門)

ごプラムには極彩色の神様の像がこれでもか!と飾られている


<ミーナクシ寺院の中にはいる>
寺院の境内は、靴も靴下も脱いで裸足で歩く。どのお寺も「参拝料」などは無い。
脱いだ靴を預けるところもあるが、私は持参したビニール袋に入れて持って歩いた。この方が、必ずしも入って来た門から出なくても良い。
境内は外国人も含め、大勢の人が訪れていた。

千柱堂と言う、ライオンや象、ワニ、牛、鷲などが合体した想像上の動物「ヤーリー」が彫られた沢山の柱が立った部屋がある。ここも人がぞろぞろと歩いている。

此処を抜けると、象がいた。
象は人に祝福を与えている存在とのこと。
何処も沢山の人が参拝に訪れていて、その人の間を縫って歩くが、薄暗い石の床は濡れている。象が屋内も歩くので糞が落ちていたり尿が流れていたりと、清潔とは言い難い。
外ではなるべく乾いた石の上を歩こうとするが、今度は日に照らされた石畳が熱くて歩けない。

人に祝福を与えている象は、同時に糞も尿もする

スンダレーシュワル神殿では、ヒンドゥー教徒以外はシヴァ神の乗り物の聖なる牛「ナンディ」(Nandi)を祀ったホール迄しか入れないが、其処もお祈りする人や捧げ物を売る人でごった返している。
中の売店で、ゴプラムの写真の絵葉書とガネーシャの絵を買った。
寺院の南側の、ミーナクシ神殿の前には沐浴場がある。

帰り、西門と勘違いしてその南門から出てまっすぐ歩き、直ぐに見えてくるよ思い込んでいた小さなホテルの建ち並ぶ見慣れた路地がなかなか見えず、気が付いたら迷子になっていた。
仕方なく通り掛かったサイクルリキシャに乗って、ようやくHotelに戻った。Rs.15(約53円)。

ホテルに戻ると、まだ少年の様なエレベーターボーイに、日本の硬貨を見せてくれと言われた。
外国人の旅行者に、外国の硬貨を見せて貰うのが楽しみなんだと。特に日本は穴の開いた硬貨があると言うが、それはないかと。多分5円硬貨か50円硬貨だろうが、生憎持っていない。部屋に戻ってザックを探ってみると、日本で電車の切符を買った時のお釣りの硬貨が残っていた。
戻って、穴は開いていないけど日本の硬貨だと言って、10円と100円硬貨を上げる。白い歯を見せて喜んでいた。
14:40からまた水のシャワーを浴び、16:00まで寝た。

夕食は、最初に宿泊を断られたHotel Supreme の、屋上Restaurant「Sorya」に行ってみる。
ナン、マッシュルームマサラ、フライドライス、ミネラルウォーター、パパイヤを食べる。美味しい。Rs.160(約560円)。
屋上からは、家並みの中に四方に立ったミーナクシ寺院のゴプラムが見える。昼間の熱気が治まって心地よい夜風に吹かれながら、昔、近鉄奈良駅の屋上ビアガーデンで、同じように木立や家並みの中に、東大寺の、鴟尾の付いた大仏殿の屋根が見えたのを思い出した。

Hotel Supreme の屋上Restaurantから、ミーナクシ寺院のごプラムが見える

夜21:30、 Hotel Chentoorをチェックアウト。短い時間だったが、良いホテルだった。
22:00まで階下のtravel Agentで待つ。裏の道からチャーターバスが来るらしい。