<2日目ー3>
1999年 2月21日 日曜日 チェンナイ 晴れ
エア・ランカ航空のストライキによる遅延などで、予定が二転三転しながらようやく着いたチェンナイでは、地元の方の家庭に伺ったり、映画を観に行ったり、本当に楽しい時間を過ごさせて貰った。
でも次の目的地へ向けて、もう出発の時だ。
ジョンに、マドラス・エグモア(MADRAS EGMORE)駅まで送って貰った。
<マドラス・エグモア駅>
南インドの中心都市チェンナイには、インド各都市を結ぶターミナル駅のチェンナイ中央駅(Chennai Central Railway Station)と、タミル・ナードゥ州各地を結ぶマドラス・エグモア(MADRAS EGMORE)駅がある。
私の乗るSouthrn Railwayの19:30発、夜行「6717 PANDYAN EXP. (A/C Ⅱ Sleeper)」は、マドラス・エグモア(Madras Egmore) 駅19:30発 → マドゥライ・ジャンクション(Madurai JN)駅着は明日の06:50の予定で、大よそ11時間掛かる。
乗車料金はRs759(約2,657円)。チェンナイからマドゥライまでの距離は525Km。ほぼ東京から大阪までの距離だ。
駅の売店でCOFFEEを飲む。小さなプラスティックのコップに入った甘い味で、Rs.4(約14円)。とても美味しい。ここ南インドではチャイではなくコーヒーだ。
列車の発車する2番ホームを探して、薄暗い駅構内をうろうろするがなかなか見つからない。
駅のプラットフォームは、大抵番号順に並んでいる。しかし1番の次が3番、4番となっていて、肝心の2番が無いのだ。えっ?どうなってるの?狐につままれた様だ。
ユニフォームを着た駅員らしい人に聞くと、3番ホームを指さして「Over there」と言うなり行ってしまった。
何だ、それ?
疑心暗鬼なまま3番ホームに行ってみると、なんと3番ホームの先に2番ホームを示す表示が掲げられている。進んでみると、このホームは3番線と2番線が背中合わせに発車するようになっている。
これで衝突したりしないんだろうか。こんなの初めて見た。日本では、列車が一方向に進行する線路か、白黒の終点表示のある終着線だけしか知らなかった。
どうも駅に乗り入れている線路には、ゲージ(線路の幅)が違う線路があるためこうなっているらしい。
聞いた話では、インドの鉄道の多くは1676mmのブロードゲージ(Broad Gauge)、いわゆる「広軌」だが、中には東南アジアで多いメートルゲージ(Meter Gauge)や762mmのナローゲージ(Narrow Gauge)いわゆる「狭軌」などの線路が混在しているらしい。
2番線ホームの掲示板に貼りだされたチャートで、自分の名前のあるのを確認してから、停まっている列車のコーチ(Coaches)の入口に貼ってあるチャートで、座席ナンバーを確認して乗りこむ。
インドの鉄道の乗り方にも、少し慣れてきたかな。
今度の席は、進行方向に横向きに並んだ2名用の寝台席ではなく、通路を挟んで反対側にある1名用の寝台席で、それが夜には向き合った座席が平らになって、進行方向と同じ向きの寝台になる。
<夜行 6717 PANDYAN EXP. (A/C Ⅱ Sleeper)>
19:30、定刻に列車は出発した。
薄暗い駅構内を出ると、初め町中のオレンジ色のか細い光が建物の輪郭をぼおっと浮き上がらせて見えたが、直ぐに木々の間にでも入ったのか真っ暗な闇が続くようになった。
この列車も夜食がincludedされているようなので、注文を取りに来た列車の給仕にチキンマサラを頼む。
暫らくして、運んでくれたチキンマサラを食べるが、量が多いのと、正直余り美味しくない。
食べ残したので、列車の後ろに歩いて行って車掌にゴミ箱は何処か尋ねると、車掌が開け放たれたままの扉の向こうを指さす。外には陽が落ちて黒々とした線路沿いの景色が広がっている。
外に放れと言う事か?!躊躇していると、早くしろと急かす。仕方なく走り去る暗い景色の中に、思い切り放り投げる。
線路に散らばったゴミ(?)は、烏や牛や色々な動物が食べるのは、カルカッタのHOWROR駅でも見た。停車中の列車の中から人が外に無造作にものを捨てていて、それを寄って来た動物や人が拾っていたが、無感覚に出来る行為ではなかった。
給仕が来て、座席を寝台に直してくれた。
そのLower Berthに横になると、どっと疲れが出て来た。昨晩は飛行機の中で殆ど寝られなかった。今日も一日色々見て回って楽しかったが、それも気が張っていたから眠くならずに居られたのかな。そう思いながら、直ぐに寝入ってしまった様だ。