歳をとっても旅が好き

海外ひとり旅の記録?いや記憶かな

インドひとり旅(1997年) <13> 7日目 再びカルカッタ(CALCATTA)へ戻って来た

<7日目ー1
1997年11月18日 火曜日 カルカッタ 晴れ

<再びハウラー駅に到着 >
AM5:50頃、昨晩の18:35にプリー(PURI)を出発した列車「8008 PURI-HOWRAH Express」が、早朝のHAWRAH駅に到着。
列車を降りてから、行く宛てがないのに気付いた。

もともと漠然と考えていた旅のルートは、プリ―の後はデリーだった。そのつもりでプリ―の駅でも、デリー行きの列車の切符を取ろうとしていたが、デリー行きは取れず、結局また「振り出し」のカルカッタに戻って来て仕舞った。
でも、旅は「すごろく」じゃない。先に進めば良いってもんじゃないだろうと、強がっては見たが(笑)。

でも今日の宿が決まっている訳ではなく、早く背負っているこの荷物を降ろしたいと思い、2階のRefresh Roomへ行ってみるが、あいにく一杯で「FULL」と言われた。
Refresh Roomは駅内の休憩施設で、簡易な宿泊もできると聞いていたのだ。
しかし5日前に初めてこの駅に来たときとは違って、何故か自分でも少し余裕が出てきた気がする。あの時は薄暗い駅構内を、先を歩く現地のツアーエージェントの人に遅れまいと付いて行くのが精一杯だった。
いまは朝の光のなかで、何日間かのインド体験を経て来たからかなぁ。
売店でミネラルウォーターを買う。Rs.13(約46円)。プリ―より少し高い。

外に出て振り返ると、HAWRAH駅は赤いレンガ作りの巨大な駅舎だ。タクシー乗り場で初めてひとりでタクシーに乗る。黒い車体に黄色い屋根のアンバサダー。
まるで古色蒼然としたような車体で、戦後の日本でノックダウン生産されていたイギリス車のオースチンやヒルマンミンクスが未だ使われている様な気になる。インドが長らく続けている「輸入代替工業化政策(Import substitution industrialization)」の賜物かなぁ。
これって国の工業化を進めるため。外国製品の輸入を制限して国内生産を奨励する政策で、かつて日本も行っていた。

「Sudder.St. How much is it? サダルストリートまで」と言って料金を聞く。
プリ―に行く前に泊まっていたのがサダルストリートだったので、脳裏にはそれしか浮かばなかった。
Rs.50と言うのをRs.30(約105円)で決める。余りゴネないので意外に思ったら、助手席に乗れと指示された。サブザックを抱えて乗り込むが、発車しない。
暫く待つと、別の客が後席に乗って来てようやく出発した。何だ、此処は「相乗り」制なのか?と訝しく思う。多分ドライバーのやり方なんだろうが、こんなこともありなんだ。

<YMCA>
チョウロンギー (Chowronghee) 通りがサダルストリート(Sudder St.)に入る手前で、「I get off here.」と言って降りる。インド博物館の手前だ。
直ぐ側の、チョウロンギー 通りに面して建っているYMCAに行ってみる。
昨晩の列車の中で、漠然とカルカッタに着いたら何処に泊まろうかと思案したのだ。此処で宿泊できなければ再度Lyttonか、他のゲストハウスを探す積もりだった。

YMCAは旧いが大きな建物で、チョウロンギー通り側から階段を上り広い1階、グランドフロアにでた。
中は体育館の様で、目が悪くならないか心配なくらい暗いコートで、インド人の青年たちがバドミントンをしている。その片隅にレセプションがある。

「Can I get a room?」と聞くと、「Yes」と。幸運だった、嬉しい。
Non A/C  &  single  &  attached Bath、2食付きで1泊Rs.325(約1,138円)。腹具合がまだ万全ではないので食事付きは助かる。嬉しくて、部屋を見ないままチェックインした。
但しYMCA の会員ではないので、「Temporary membership Fee」として別途Rs.40(約140円)かかる。
「Can I have breakfast now?」いま朝食は食べられるか聞くと、大丈夫らしい。有難い。「Extra Breakfast」としてRs.30(約105円)追加。
Check inとcheck out Timeは同時刻の12:00だと。

YMCA Chowronghee Branchの料金表

「YMCA」と描かれた、大きな金属製の部屋ナンバーのプレートが付いた南京錠を貰う。ここのドア鍵も、ゲストハウスの様に外から掛ける南京錠なんだと可笑しくなった。
部屋は「Room No.19」。日本で言う3階、インドでは2nd Floorだ。ちなみにダイニング゙は2階で1st Floor。

階段を上がって「No.19」の部屋に入る。
青く塗られた壁の天井の高い広い部屋だが、部屋全体が旧く、家具が長い間置かれたままの物置の様な臭いがする。
蚊帳を釣る支柱だけ付いたベッドが2台、部屋の両端に離れ離れに置かれ、その間に旧い椅子と机が置かれている。ベッドには擦り切れた様な毛布が置かれていたが、嬉しいことに1台のベッドにだけ真っ白で清潔そうなシーツが敷かれている。
ツインの部屋のシングル・ユースということか。この値段では贅沢だ。

「Room No.19」のベッド

部屋の扉の大きな南京錠

洋服ダンスもあるが、何か中を開けるのがおぞましい様で、カーテンも窓の両側に束ねられていたが、解いて広げたら大量の埃が舞い上がる様な気がする。

トイレは洋式で水洗だ。シャワーは配水の管が剥き出しで、下から立ち上がって先端に平たいシャワーノズルが付いている。下にはバケツが置かれている。出るのは、無論水のみだ。
鼠や虫が出ないことを願うが、それでも宿を取れたことは嬉しかった。

水のシャワー

<YMCAの朝食でKさんに会う>
AM7:30朝食。
部屋を出て、2階のダイニングに向かう。

昨日から何も食べていない。ダイニングに行くと、窓から陽が射している。
味の濃いバターを付けた小ぶりなトースト、プレーンのオムレツ、オートミール、そしてチャイ。デザートにバナナを食べる。美味しい。まともな食事は何時以来だろう。
ダイニングには欧米人、インド人が何組かいたが、中に日本人と思しき若い女性が一人で食事をしている。

声を掛けてみた。
Kさんといって、ショートカットで眼鏡を掛けた話し方の静かな人で、北海道から来たんだと。同じテーブルに移って食事しながら話す。
女性の二人連れだが、一人は下痢のため部屋で寝ているらしい。二人はカルカッタに近いスンダルバンズ(Sundarbans)動物保護区に行って来たらしいが、そこで下痢になったとのこと。

スンダルバンズはカルカッタの南東約60Kmで、バングラディシュとの国境に近い。ベンガル湾の奥で、ガンジス河(The Ganges)とブラマプトラ河(Brahmaputra River)の下流域に広がる世界最大のデルタ地帯にある国立公園らしい。
陸上、水生などいろいろな生物が生息しているが、中でもベンガルトラが生息しているので有名だと。
彼女たちは、そこを管理する西ベンガル州が乾季の間だけ開催する1泊2日のツアーに参加したらしい。

食後レセプションで、デリー(DELHI)行きの鉄道ticketの取得が可能か聞いてみる。
プリ―で、駅やリザベーションオフィスに行かなくても、ホテルでもコミッションさえ払えば、切符がとれることが判って来たからだ。

可能らしいので「19.nov.1997  /Rajidani Exp」のresarvationを依頼する。料金は、Rs.2400(約8,400円)と。勿論コミッション込みだろう。
「Rajidani Exp」はインドの各主要駅とニューデリー駅間を走る寝台急行だが、特急並みに早く豪華な列車らしい。高額だが、せっかくインドに来たので安いものだけでなく贅沢なものも是非体験してみたかった。

Ticketは今晩か明日の朝渡すと。