<8日目―1>
2018年 5月21日 月曜日 セルチュク晴れ チェシメも晴れ 27度。チェシメは、陽射しは暑いが、海風が吹いて清々しい。
<セルチュクSelcukからチェシメCesmeにバスで移動>
6:50起床。
使っていない方のベッドの上には、これからパッキングする荷物が所狭しと並んでいる。一昨日買ったティッシュペーパー、昨日買ったシャンプーと次第に荷物が増えている。
7:30 一階に降りると、ブレックファーストかと聞かれた。セルチェクに到着した朝も朝食を出して貰っている。宿泊数に比べて1食分多い勘定になるので、「I will pay this charge.」とよく分からない英語で、この分は支払うと言うと、フリーで良いといつもの朝食のプレートを出してくれた。
食べていると、別のテーブルに東南アジア系か中華系の若い男性と女性が座った。会釈する。
食後、部屋に上がってトイレに行く。
するりと出たが、便器に少量だが血の跡がついていた。
9:45 荷物をまとめて、チェックアウトする。
久しぶりに担ぐ荷物、重い。すぐそばのオトガルまで歩いて、イズミル行きのバスを探す。
「イズミル」と声をかけると、チケット売り場を教えてくれた。
チケットを買う。12TL(約320円)。
フォルクスワーゲンのミニバンだが、満席。幸い私は窓側の一人掛けの席に座れた。
10:20出発。
高速道路を走る。しかしところどころで高速道路を降り、停留所の様なところで乗り降りがある。若い女性が乗り込んで来て、後ろの空席に向かったが、すぐ空いていた助手席でも良いか聞いて、そこに座った。
昔行ったパキスタンでは、男女が同席しない様にバスの車内に仕切りを作って席を分けていたが、それでも途中から乗り込んできた制服姿の女学生が黙って助手席に乗り込んでいたのを、何故か思い出した。
約1時間でイズミルのオトガルの二階に到着した。
イズミル(Izmir)のオトガルは、3日前セルチュクに向かう途中立ち寄ったところだ。2階のフロアでチェシメ(Cesme)行きのバスを探して声をかけると、あっちだと言われ、行って見るとちょうど11:30発のバスが出そうになっていた。これは大型バスだ。セルチュクとはお客の数が違うのだろうか。
「Please,wait a minute, I go to toilet! ちょっと待って、トイレに行って来る」と言うと、あと7分だと。その場にバックパックを置いて、慌ててトイレに行く。1.25TL(約30円)だが2TL払ってお釣りを貰わず来た。
その間にバックパックはバスに積み込まれている。
慌てて乗り込むが、まだ空席があった。
青いニットのワンピースを来た綺麗な女性が乗ってきて、辺りを見回すと、真っ直ぐ私の隣の席に座った。
あれっ?他にも席は空いているのにと思ったが、考えてみたらこの先お客を拾いながら走って行くのに、隣にローカルの男性が来るのを嫌がったのかもしれない。それだけ私は人畜無害に見えたのかな(笑)
すぐ出発した。料金は、車内で車掌に払う。19TL(約500円)。
イズミルの煙突の立ち並んだ工業地帯や市街地を通り過ぎて、高速道路は山間部に入って行く。この地方の山は岩で出来ていて表層に土が少ないのか、木々が疎らにしか生えていない。日本とは違う風景だ。
カラブラン(Karaburun)半島から更に突き出たチェシメ(Cesme)半島に入る。山を下って行くと、周囲は次第に明るい新興の住宅地になって来た。Google Mapを見ると、次第にチェシメに近づいて行く。オレンジ色の瓦に白い壁、鮮やかな赤やピンクの花が咲いている。
交差点の信号でバスが一時停止した。道端に立っていたスカーフを被った年老いたおばあさんが、1、2歳と思われる孫娘を抱いて、信号で止まった前の車に歩み寄って物乞いをしている。車は窓も開けず、信号が変わって走り去ってしまう。女の子は何がおきているか知らず、大きな愛らしい目で見つめているだけだ。
この娘の境遇や将来が知らず思い起されてしまう。世界中で繰り広げられている光景だが、辛い。
13:10頃、バス停に停まった。Google Mapで見ていたら、なんとバスが今晩泊る予定のホテル近くを通って、チェシメのオトガルに行こうとしているのに気づいた。イズミルから走って来たIzmir-Cesme Yolu道路が、エーゲ海に突き出した半島の途中で左に大きく曲がってオトガルに向かっているが、そのカーブする少し手前に目指すホテルがあるのだ。
ここからならバックパックを背負っても歩けそうだし、わざわざオトガルまで行って、タクシーで戻らなくても良い。
私は車掌に「Excuse me. I get off here. 私は此処で降りる」と声をかけて、慌てて降りる。
バスを降りると、太陽に照らされた街路には人影が無い。駅でも、バスターミナルでもない、まったく見知らぬ異国の町中に降りてしまったと、妙な感慨が湧く。
バックパックを背負って、黒いサブザックを前に掛けて、約10分炎天下を歩いて今晩の宿泊先カラデデ・ホテル(KARADEDE HOTEL)を見つけた。