歳をとっても旅が好き

海外ひとり旅の記録?いや記憶かな

トルコからギリシア、イタリアへひとり旅(2018年) <48> まだ26日目 ついにパレルモからローマROMAへ出発!!

<26日目ー2>

2018年 6月8日 金曜日 パレルモは晴れ 今日はそれほど暑くない。24度。時折小雨?

 

<パレルモにこんなものが?!>

ようやく念願だったイタリアのSIMを買った。これで途切れる心配なく、Google Mapを使える。

12:30 ホテルに戻って荷物を受け取る。
荷物を背負ってから、Google Mapを駅に合わせてみる。
この大きなバックパックを背負って、息を切らせながら表通りのマクエダ通りを歩きたくないなぁと思って見ると、幸いにもGoogle Mapはホテルから裏道を通って駅までの道を案内していた。

ホテル前のスカルパッレ通り(Via Scarparelli)を左に出る。数軒先でサン・ニコロ・アッラルベルゲリア通りに出て、この先の路地を何回か曲がりながら行けばコルソ・トゥコルイ(Corso Tukory)の大通りに出て、左に行けばパレルモ中央駅の前に出る筈だ。

そう思ったら、Google Mapを消して、肩から斜め掛けしたウェストポーチにiPhoneを仕舞う。
バックパックを背負いながら、サブザックは左の肩に前から引っ掛けている。しかし歩く度にサブザックが肩からずり落ちてくるので、これを左手で支えつつ、右手でiPhoneを持って、Google Mapを見ながら歩くのはキツイのだ。

しかし、路地は突き当たっては曲がって、また目指す方向の路地を捜して歩く。周囲は同じような3、4階建ての旧い石造りの建物ばかりだ。道を聴こうにも、時折人を見かけても胡散臭そうな表情をするだけだ。
マクエダ通りは観光客の多いあか抜けた街並みだが、一歩裏道に入ると雑然とした街路が続いている。

路地の周りはみな同じような建物ばかりだ。

次第に方向感覚が分からなくなる。これではいけないと、立ち止ってiPhoneを取り出してGoogle Mapで中央駅を目的地に設定して、「経路検索」を開始する。
ところが、出て来た経路を示す進行方向の矢印が、道ではない行き止まりの住宅の方角を指していたりする。何だこれは?!まるでGoogle Mapが役に立たない!!

狭い路地は迷路のような感覚になり、閉塞感からだんだん息苦しくなってくる。
まるでスキューバ・ダイビングで潜降中、透明度が悪く着底する海底が見えない時、突然襲ってくる恐怖感と息苦しさに似ている。
減圧症に対するダイブコンピュータの警告音が、「ピーピーピーピー」と鳴っているにも関わらず、急激に水面まで浮上したくなる衝動の様に、何とか広い道に出たいと思いながら、駅の方角も考えず路の角々を曲がり始める。

暫らく探すうち、何本かの路地の先に見慣れた広い街路が見えて来た。
すがる様な思いで通りに出ると、何とそこはバスティオーネ通り(Via del Bastione)だった。駅とは反対方向の、ノルマン王宮の近くに出て仕舞ったのだ。
驚くと同時に、余りの徒労感にどっと疲れが襲ってきた。

 

大きなバックパックを背負って、息を切らせながら表通りのマクエダ通りを歩きたくないなぁと見栄を張って裏道を歩きだしたが、このざまだ。
このうえ迷いたくなければヴィットリオ・エマヌエーレ通りからクワトロ・カンテに出て、マクエダ通りという銀座通りみたいなところをひとりヨタヨタと歩いて行くしかないだろう。

そう思いながら意気消沈してPark Villaの王宮前の公園を歩いて行くと、道端に三輪車のトゥクトゥクが何台か止まっている。何かの見間違えか?余りの疲労に、本当に幻影を見た様な気がした。
パレルモにトゥクトゥク?!この旅行で初めて見た!

髭を綺麗に整えて、ピシッと青いシャツ着こなした暇そうな若い運転手に、「Is this a Taxi? タクシー?」と聞くと、そうだと。
中央駅まで行きたい、幾らだ?と聞くと、なんと20€(約2,700円)だと。私が10€(約1,350円)と言うと、街は一方通行ばかりで遠回りしなきゃならないと、地図を出して説明する。
私は「No thank you .By walk」と言って歩き出そうとしたら、待て、待てと言って携帯を取り出すと、別のトゥクトゥクを呼ぶからと。


新しく来たトゥクトゥクの運転手に、中央駅まで、10€と確認して乗り込む。
走り出すと狭い道を縫うように飛ばす。身体を支えて居ないと飛ばされそうだ。しかし速い。
15分くらいで中央駅の裏口に着いた。
本当に救いの神だった。しかし、パレルモにトゥクトゥクがあるとは知らなかった。

救いの神トゥクトゥクに乗って、パレルモ中央駅へ。

パレルモ・チェントラーレ中央駅

<パレルモ中央駅で>

駅に着いて、正面左に荷物預け所(Baggage Point)を見つけたので、荷物を預ける。大きなバックパックと小さなサブザックを出すと、荷物は2つだと言う。私はサブザックを大きなバックパックにカラビナでくっつけて、ひとつで良いだろ?と言うと、仕方ないなぁみたいな表情でOKしてくれた。とにかく最初の5時間まで、荷物一個で6€(約810円)もするのだ。

パレルモ中央駅のBaggage Point

お腹が空いた。駅中で飲食店を探すが、マクドナルドとパニーニ屋さんしか無い。私はパニーノとコーラを買って、売店のテーブル席に座って食べる。6.5€(約880円)。
しかしやはり昨日の肉屋のパニーノとは全然違う。

人心地着いて周囲を見渡していると、違和感が無いのにようやく気付いた!
なんだ?!イタリア鉄道トレニタリアはなんの違和感も無く、普通に動いている!!ひとを散々心配させたストライキはどうなったんだ!
人騒がせで申し訳なかったと、一言お詫び状でも貼り出したらどうなんだ、と思う。もっとも、見ても分からないだろうけど(笑)。

今日の昼食は、またパニーノ

まだ列車の出発には大分時間がある。パレルモ中央駅の付近を散策してみる。
中央駅を出て前を見ると、中央駅舎を背にして正面の広場の向かい側やや左、鞄屋などが並んだ前辺りに、14:30ごろ、バスの正面に「Monreale」と表示されたバスを発見した。

あれっ?!あれって、モンレアーレ(Monreale)行き?

モンレアーレには、パレルモ観光の目玉だとガイドブックには書いてあるドゥオーモがある。内部のモザイク画が素晴らしく、モザイク装飾の面積が現存する教会の中で世界一なんだと。しかし所在地はパレルモ市内から8kmほど離れているが、そこにはバスで行くしかないらしい。

ガイドブックでは、バスはカテドラルの西側のインディペンデンツァ広場(Piazza Indipendenza)から出ていると書かれているが、いろいろなネット上の旅行ブログでは、バス停が良く分からないと書き込まれている。

偶然が重なれば、簡単に見つかる。見つからない時は、いくら探しても分からないけど(笑)。
せっかく見つけたので一瞬行ってみようかと思ったが、しかし今からモンレアーレでは時間の余裕が無い。今から行ったら、列車の時間に間に合わないかもしれない。

中央駅の広場を隔てた反対側に在る、モンレアーレ行きバス停

仕方ない。駅のホームのベンチでしばらく待つ。
イタリアの駅は改札口が無いが、待合室も無い。人はホームのベンチか広場の花壇の石垣に座って列車の来るのを待っている。
昼過ぎの曇り空は消えて、また夏の青空だ。白い雲が湧いている。
ここは風が通って気持ちが良い。
しかししばらくすると身体が冷えてくる。
少し日が陰ってくると、花壇の側なので蚊が出てきた。

 

駅をでて、クアトロ・カンテまで街を散歩。今度は迷わないように(笑)、マクエダ通りを真っ直ぐ行く。
17:00を過ぎると、道の両側にビールの屋台が並び始める。でもまだまだ昼の様に明るい。

夕暮れになって、屋台が出始めたマクエダ通り

<ついにローマROMAへ出発!!

今晩の列車は、パレルモ中央駅 18:48 → 明日の07:13 ローマ・テルミニ(ROMA Termini)行きだ。4番ホーム。

ついにトルコ・イスタンブールから始めた今回の旅の終点、ローマへ出発だ。
17:25 列車が入って来た。「InterCity NOTTE」夜行特急だ。
コーチは8号車でシートは53番。

パレルモからローマへのチケット

InterCity Notte夜行特急

コンパートメントの同室は、気難しげな旦那さんと寡黙な夫人の老夫婦。
初めこんな異邦人と同室になりたくないと思ったのか、私が席を捜してこのコンパートメントを覗き込んで、先にいた旦那さんに切符を見せながら「53」は此処ですか?と聞いても、お前はあっちのコンパートメントじゃないかなどと言っていた。

それでも鉄道の職員が配りに来るジュースやスナックを受取ってご夫妻に手渡したり、Google Mapで今どこを走っているかを画面で見せたりしながら、言葉は全く通じないが、少しずつ意思疏通出来て来た。

二段式の寝台車なので、畳まれていた上の段のベッドを広げる。イタリアではベッドの設営は乗客自身がするみたいだ。座席の下に入っている梯子を掛けて、シーツやブランケットを準備する。老夫婦のベッドは片側の上下の寝台だったが、二人とも二階に上がるのは大変そうなので、左右の下段の寝台を使ってもらい、私は上段に寝ることにする。

コンパートメントの中

21:00を過ぎると外は真っ暗だ。
21:50 メッシーナに着く。
ホームでしばらく待ったあと、列車は引き込み線に入って、列車ごとフェリーに乗り込む。
前回はバスで、今回は鉄道で、2回目のメッシーナ海峡越えだ。

列車を降りてフェリーのデッキに上がると、横一線に縁どられた様なメッシーナの灯りの奥に、離れて来たシチリアの島影が黒く浮かんでいた。

遠ざかるメッシーナの街灯り。