歳をとっても旅が好き

海外ひとり旅の記録?いや記憶かな

インドネシア・ジャワ島ひとり旅(2017年) <18> まだまだまだ6日目 ソロからの帰りの電車は、常識を超えた大混雑。

<6日目ー4> 

2017年 2月26日 日曜日 ジョグジャカルタ 曇り 暑い。30℃。ソロも暑い。

<ソロSolo Balapan駅からジョグジャに戻る列車は・・・>
サンギランに行ってきた。ソロSolo Balapan駅で、これからジョグジャカルタに戻ろうと列車を待って居る。
「Roti O」で買ったカプチーノを溢して、左の脇腹を少し火傷したが、濡れたティッシュで冷やしているうち、なんとか治って来た。

ソロSolo Balapan駅構内

トイレに行きたくなったので、モップで床を拭いていた係の女性に「ディ マナ ウェセ―  Di mana WC? トイレは何処ですか?」と聞くと、駅の改札を通った先にあるとのこと。
では未だ出発1時間前だけど改札を入ってしまおうと向かうと、なんと改札口の前には二重三重の長蛇の列が出来ている。
列の先頭は未だ改札口で止められている様だ。少なくともこの列が中に入らなければ私も中のトイレには行かれない。何かの長距離列車の列かなと思って、最後尾にいる20歳位の青年に切符を見せながら、「I line up here. OK?  此処に並んでいても良いの?」と言う様なことを聞くと、意外にも自分も同じだからと言う。
「え、えっ?!」

意外な言葉にびっくりした!!
この大量の乗客は、私が乗ろうとしている同じローカル列車に乗る人達の列??!! まだ発車1時間前にも関わらず、に。
漠然としていたインドネシア鉄道の超混雑状態や、果てはジャワ島の人口の過密さまでもが恐ろしい様にひしひしと実感させられた。

<いよいよ乗車!歳をとっても、飛ぶがごとく?!>
ようやく改札が始まった。構内アナウンスで、飛行機の搭乗の様に小さな子供連れやお年寄りが先に入場するよう伝えられると、改札の脇に居る職員が案内して次々とプラットフォームを歩いて行く。
続いて我々の番だと思っていると、職員が「Jepang!」と呼び掛けている。最初何を言っているのか分からなかったが、見渡す限りでは此処にいるJepang(日本人)は私だけだ。先に行けと言って呉れているのだ。
しかし、先程この列車で良いのか聞いた青年を含め、みんなが1時間前から並んでいる中で抜け駆けは出来ない様な気がした。分からないふりをして動かずにいると、再度の声掛けは無く、先頭から順に改札の中に入り始めた。

改札を抜けると、入ったプラットフォームから一本線路を隔てた向こうのプラットフォームにPrameks 号は停まっている。既に先に入場した人は列車の中に入って居たが、何故か中央付近から後ろの方が混んでいるのに先頭に近い車両は空席が多く、不思議な気がした。
そうか、人々は改札の前のプラットフォームを奥に進み、真ん中辺りにある各線路を横断する中央通路を通って、目指す列車の入っているプラットフォームに上がってから列車に乗こむのだ。だから中央通路に近い車両から混んでいるんだと分かったが、いま歩き始めたプラットフォームは私より前に並んでいた人で一杯で、女性や子供の姿もありなかなか進まない。

すると私の前にいた青年を始め、何人かの若者が急に走りだした!
プラットフォームを飛び降りて、線路を跨いでPrameks 号が停まっているプラットフォームに駆け上がって行く。
インドネシアのプラットフォームは、列車から乗降する時に踏み段が付けられる位低いのだ。
それを見て、私も反射的に走り出してしまった!!
いきなりプラットフォームから飛び降りようとしたが、見ると此処は意外にも高さが1m以上ある。しかも下は線路と敷石の砂利で足場が悪い。一瞬躊躇したが、勢いで飛び降りた。

痛い!とは思ったが、なんとか無事着地。此処で転んで怪我でもしたら「Jepang(日本人)、年寄りの冷や水」でトンダ大恥だ(笑)。でも子供の頃汽車に乗る時って、我先にと駆け出して、親の分まで席を取るのは子供の役目だったよなぁと思いだした。
あの青年や私だけでなく、多くの人が線路を飛び越えてPrameks号に乗り込んだ。

この甲斐あって、何とか座席に座る事が出来た。しかしその後からも乗客が来るは来るは。
もちろん座席には座れず、みんな出入口付近ばかりで無く、ロングシートの間の通路にも老若男女問わずみんな床に座り始める。しかし座りきれず立ったままの人もいて、小さな子供など気の毒だ。
このままの状態で発車まで1時間近く待っている。列車は動かないので風も入らず、座席はプラスティックなので尻も痛くなって来るが、誰も不平を言わず、ただ待って居る。

<ジョグジャの駅に着きはしたが・・・>
漸く17:00になって発車。
行きはA/Cが無くともさほど暑くは無いと思って居たが、それは車内が空いていたためだと分かる。只でさえ満員の人いきれで暑いのに、風は車内を通り抜けないので熱が篭って仕舞う。
そのうち窓ガラスに雨粒が当たる様になって、雨が降り出した。少しは温度が下がるかなと思ったが、窓を閉めるので返って蒸し暑くなるばかり。また停車する途中駅からも更に人が乗って来る。
しかしビックリなのは、こんな満員の車両に、車掌とセキュリティが来て切符の検察をして行った事だ。勿論皆当たり前の様に、文句も言わず切符を差し出していた。
インドネシアの人たちの体力と我慢強さには、本当に感服するばかりだ、

到着予定時間の18:15を過ぎて、漸く駅に到着。多くの乗客が降り始める。しかし未だ降りようとしない乗客も居るので、隣の若い男性に、「スタシウン ジョグジャカルタ? Stasiun Yogyakarta? ジョグジャカルタ駅か?」と聞くと、一瞬「えっ?!」と言う顔をしてから、そうだと言う。
此処で乗り越したら大変だと思って、慌てて荷物を持って降りる。

外はスコールの大雨になっていて、駅構内でも屋根の無い線路はびしょびしょになっていた。大きな白い駅舎の至る所で、乗客が雨を見つめて佇んで居る。
今朝乗り込んだジョグジャカルタ・Tugu駅にしては、見慣れない駅の構内だ。
初めは、今朝入ったのが駅の裏手に当たる南口で、本当の駅舎の正面は北口なので見慣れないだけかなと思った。
しかし周囲を見渡しても、午前中ソロへ行くとき、親切な親子連れに案内されて通ったプラットフォームから線路を横切って南口へ渡る通路も見当たらない。えっ⁈ 違う駅に降りちゃった⁈

冷静に考えたら、ジョグジャカルタには私が今まで乗り降りしたTugu駅の他に、ルンブヤンガンLempuyangan駅もあった。
私が隣の男性に聞いた時、ジョグジャカルタ駅かと聞いたので、彼はTugu駅ではないが、もう一つのジョグジャカルタの駅の積りでLempuyangan駅を「そうだ」と答えたのかもしれない。
しかし、ソロから来てルンブヤンガンLempuyangan駅はTugu駅の先の駅だ。若し此処がルンブヤンガンLempuyangan駅だとすると、私はTugu駅を見過ごしていたことになる。でも、沢山の乗客が乗り降りするTugu駅を見逃すだろうか。
やっぱり此処はTugu駅なのか。
頭が混乱してくる。と、その時、ソロからジョグジャカルタ駅に向かう鉄道線路は、東から西に進む。とすると先に到着する駅は、ルンブヤンガンLempuyangan駅だ!!そして、その次がTugu駅になるはずだ。ようやく気付いた!ああ、やっぱり間違えている。

しかし、間違ったことが分かっても始まらない。この雨だ。
この雨で、見たことも無い場所に降り立って仕舞ったら、ホテルへ戻る手段は、タクシーしかない。
しかしタクシー乗り場に面した駅の軒下には、沢山の人が固まって待って居る。雨が余りに激しく、乗り場まですら出られないのだ。この人達の後まで待っていたらいつタクシーに乗れるか分からない。此処では誰も「Jepang!」とは呼んでくれないだろう。
私は雨を見つめる人達の脇に出て、手に持っていたビニール袋から折り畳み傘を出すと、さっと開いて タクシー乗り場に向かう。雨の中でタクシーの差配をしている人にホテル名を言うと、一台の白いタクシーを止めて乗れと言ってくれる。
インドネシアで安心して乗れると評判の「ブルーバード」タクシーでは無い事に一抹の不安はあるが、選り好みしている場合でもないだろう。メーターではないので、RP40,000(約340円)で握ると出発した。

タクシーの窓から駅名の表示を写すが、分らない。

無事ホテルに帰る事が出来た。部屋に戻って鏡の前に立つと、1日動いて、紺色のティーシャツの前は一面に塩が吹いていた。
夕食は、ホテルのレストランで、牛肉のスパイシー煮込みを食べる。Rp.93,755(約795円)

着ていたティーシャツには、一面に塩が吹いていた。