歳をとっても旅が好き

海外ひとり旅の記録?いや記憶かな

トルコからギリシア、イタリアへひとり旅(2018年) <5> 3日目 イスタンブールのオトガルで、癇癪起こしてなかなかバスの切符が買えない。

<3日目ー1>

2018年 5月16日 水曜日  イスタンブール 晴れ 爽やか。朝方は21度、でも日中は27度。

 

<イスタンブール最初の朝>
ホテルのルーフトップのダイニングで朝食。
眼下にマルマラ海(Marmara Denizi)、左手にボスポラス海峡(Bogaz Turu /Bosporus)を一望できる素晴らしい眺め。振り返れば後ろはブルーモスクのドームとミナレットが見える。
海峡を通る船の汽笛が響いて、テーブルと同じ高さにカモメが飛び交っている。

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ホテルのダイニングからマルマラ海が見える

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ボスボラス海峡を行くフェリーも見える

アジアの最西端のアナトリア半島とヨーロッパのトラキア地方は、北は黒海、南はエーゲ海までの間を、ボスポラス海峡、マルマラ海、アレクサンダー大王も東方遠征で渡ったダーダネルス海峡によって隔てられている。

イスタンブールはこのボスポラス海峡を挟んで、ヨーロッパとアジア両方に跨る唯一の都市だ。

ヨーロッパ側の街はボスポラス海峡とマルマラ海に囲まれた半島の先端部にあり、その中に入り込んだ金角湾によって、さらに北の新市街と、いま居るホテルのある南の旧市街に隔てられている。

 

AD330年ローマ帝国の東の首都とされて以来、コンスタンチノープルとしてビザンティン帝国(一時はラテン帝国)の首都であり、1453年に陥落後名前をイスタンブールと改称されたが、トルコ・オスマン朝の首都でもあった。1923年トルコ共和国が首都をアンカラに制定するまで、約1000年にわたり4大国の首都であり続けた場所だ。

この景色を見ているだけで感慨深い。


朝食はビュッフェ。バゲットとハムと紅茶。特にオリーブが美味しい。
先客は2組だけだったが、そのうちの1組は年配の女性と若い男性の日本人2人。料理を皿に盛っている時、女性の方からおはようございますと挨拶された。
初め男性は息子かなと思っていたが、女性に対しボスポラス大橋は日本の瀬戸大橋などに比べて小さいなど、滔々と蘊蓄を述べているのに、女性はうわの空だ。どんな関係だろう。

 

ホテルを出て、昨日見つけた半地下になった店舗のランドリーに入って行く。

カウンターの奥で、若い小柄な男性がアイロンがけをして居た。
「Excuse me. Can you do the laundry? 」と言って、提げて来たプラスティック袋を開けて、昨日まで着ていたシャツや下着、靴下などを出す。

目方で測って、アイロンはいるか?と聞くので、要らないと言うと、9TL。10TL札を出したら、お釣りがないと。良いだろ⁈と言う顔をするので、OKする。今日の16:00迄に出来ると。

 

<エセンレルのオトガルにバスの切符を買いに行く>

明後日の5月18日にセルチュク(SELCUK)に行くつもりなので、バスの切符ビレット(Bilet)を買いに、郊外のエセンレル(Esenler)にあるヨーロッパ側のオトガル(バスターミナル)に行く。
昨日スルタンアフメド広場の辺りを見たが、バス会社のオフィスは見つからなかった。そのためオトガルまでの無料送迎のセルヴィスも使えないので、実際に乗車するオトガルまで行く道や、バス乗り場も見ておきたかった。
スルタンアフメド駅(Sultanahmet)から、イスタンブール・カルトで「T1」線のトラムに乗る。停留所入り口にある改札機にタッチする。SuicaやPASMOと同じ要領だ。


乗り込んでから、ガイドブックから切り取ってきたトラムの路線図と、通り過ぎる停留所の駅名を交互にずっと見ている。

乗り継ぎのためユフスバシャ(Yusufpasa)で下車。ここはアクサライ地区(Aksaray)で、スルタンアフメド地区の様な史跡の多い観光地ではなく、商店やオフィスビルが多く、圧倒的に人も車も多い商業地域だ。


メトロの駅まで歩く。途中ピザの店の前を通る。

娘から「トルコはうっすーいピザが美味しいハズ。ロンドンのトルコ料理屋で食べたピザが一番美味しかった記憶があります。」とFacebookに書込みを貰っていたので、覗き込んで見たが流石にまだ時間が早い。
アクサライ駅(Aksaray)からメトロ「М1」線に乗る。
途中から地上に出た車両は、6駅目でオトガル駅(Otogar)に着く。

 

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エセンレルのヨーロッパ側オトガル(バスターミナル)

オトガルはバスターミナルのこと。バンコクのモーチェット(Mo Chit Mai)バスターミナルの様に立体的ではないが、巨大な楕円形の敷地の真ん中にメトロの駅があり、楕円の中の部分はアメ横の様な庶民的なショッピングセンターとロカンタと広大な駐車場。その周りの輪の部分に、それこそ無数にバス会社のオフィスが並んでいる。最大手は青い看板の「METRO」だが、その「METRO」も他に小さなオフィスが至る所にある。

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オトガルの地下にメトロの駅がある



最初に他の店舗の3倍くらい間口のある「METRO」の最も大きなオフィスに行く。
しかし中は引越しの後の様にガランとしている。カウンターはあるが、客が待つ椅子も、客そのものが居ない。職員はカウンターの中に1人、2人といるが、カウンターが高いせいで頭が少し見える位。一瞬ここは管理部門か何かで切符を売る所では無いのかと思ったが、取り敢えず正面にいる、同僚の男性と話に夢中な女性のいるカウンターに行く。

 

カウンターの前に立つと、いきなり何しに来たんだという様な表情で見つめられた。「Can I have a ticket? 切符を買いたい。」と、あらかじめ日付、出発時間、行き先などを書いてきたメモを出すと、今まで話していた男性に、セルチュク(Selcuk)って何処?と聞いた。トルコ語は分からないが、そんな様な会話だった。

男性はイズミル(Izmir)市と言う様な返事をしている。パスポートはあるかと聞く。その間私の方に顔も向けず男性と会話を続けている。
今はパスポートを持っていないと言うと、メモに名前を書けと言う。これがパスポートの代わりになるのか半信半疑のまま名前を書いて出すが、出されたメモをカウンターの上に置いたまま、見るでも無くまだ話しをやめない。
この人本当に切符を売る積もりがあるのか。

 

インドでもどこでも、多くの国で日本の様に客に丁寧に対応してくれないのは今までも目の当たりにしてきたが、それでも無性に腹が立って来た。相変わらずこちらのイライラなどどこ吹く風で、こちらを見もしない。

余りの態度に、カウンターの上にあった行き先等を書いたメモを取り上げて、「Thank you!!」と言って帰る。
ここいら辺が老人の堪え性の無いところだ。直ぐにむかっ腹を立てる。
実は最大手の「METRO」は、トルコ全土にネットワークがあり、使い勝手は良いが、サービスでは他の高級志向のバス会社に敵わないと、ネットでの評判を見ていた。それなら多少高くてもまともなサービスをする会社に行こうと思ってカウンターに背を向けた。

後ろで「エッ〜‼︎」と言う様な声がしたが、そのまま出てきた。

 

その後ガイドブックに高級志向と書いてあった「ULSOY」を捜して歩くと、各会社のオフィスから客引きが出てきて、何処に行くんだ、うちが良いよと何度も誘われたが、断わる。
ようやく「METRO」とは駅の反対側に、赤い看板の「ULSOY」を見つけて中に入る。

見かけた男性に「Can I have a ticket  to SELCUK ? セルチュクに行くバスの切符を買いたい」と言うと、あっちの人だと言う。

背が高く、メガネをかけ、皺ひとつないワイシャツをビチッと着込んだいかにもエリート社員ですと言う様な男性に、もう一度「SELCUKに」と言うと、いきなり「NO!」と言う。

何が「No!」なのか、その路線は無いと言うことか。しかしここも説明も無く無愛想だ。
「ULSOY」ならサービス満点で切符が買えるものだと思っていたのに。

 

手近な街中では買えなくとも、オトガルにさえ行けばすんなりチケットが買えるものだと思い込んでいたので、元はと言えば自分の癇癪のせいだが、余りの展開に茫然とした。

しかし覚束ない足取りの中でも、私が行こうとしている「SELCUK」は、私はガイドブックから誰もが知る有名な町の様に思い込んでいたが、トルコではバス会社の中でも知らない人が居る様な小さな町であること、そんな町にはやはりトルコ全土にネットワークのある「METRO」で無いと行けないのだと、否応なしに分かって来た。

 

仕方なく其処彼処にある小さな店舗の「METRO」を探すと、いきなり俺はグルジアだと言う年配の男性に抱きかかえられる様に店に案内された。「METRO」の看板を挙げた、家族でやっている様なこじんまりした代理店で、私は若くて太った可愛い女性のカウンターに案内された。

やはりパスポートと言われたが、今は無いと言うと、困ったなぁと言う顔をしながらも私がメモに書いた名前でコンピュータに打ち込み始めた。電話番号は?と言うので、touristなので無いと言うと、仕方ないわねぇと言う顔をして発券してくれた。代金は115TL(約3,000円)。

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セルチュク(SELCUK)行きのバス切符



これで「良かったぁ!!」と思ったが、バスの乗り場を聞くと、何とさっき啖呵を切った様に出てきた、反対側のあの大きなMETROの店舗からだと‼︎
えっー!!もう行かなくて済んだと思っていたのに‼︎

今更行くのは、ばつが悪いったらありゃしない。バカな癇癪はいいことないなぁ。