<21日目ー1>
2018年 6月3日 日曜日 バーリは晴れ 暑い。レッチェも晴れ。暑い。
< 鉄道でレッチェLECCEに来た>
7:00起床。豪華B&B備え付けのヨーグルトやバナナなどを食べる。いつもの血圧の降圧剤やビオフェルミンなどの薬を飲む。
9:00、チェックアウト。
出掛ける前にふと気付いた。部屋とフロアのキーはあるが、エントランスのキーはどの様に開けるんだろう?
チェックアウトするので、エントランスの玄関ドアのキーを解除してくださいと、Google翻訳で下書きを作って、オーナーに送信。直ぐ回答が来て、解除したと。
荷造りしてドアを通り外に出る。当たり前だのことだが、スムーズに出来て嬉しい。
駅に向かい、発車標を見る。丁度バーリBARI始発で、レッチェLECCE行きの各駅停車が、10:05にある。早速、窓口でレッチェ(Lecce)行き、往復の切符を買う。片道10.5€(約1,400円)。往復で21€。
またホームにあるBaggage Pointで荷物を預ける。今回はカウンターの上で、バックパックとサブザックをカラビナで括り付け、昨日と同じに指を1本立てて、「One,OK?」と言ったら、今度はいやな顔をされた。申し訳ない。1個(6時間までなら)で6€(約810円)もするので。後払い。
レッチェ行きの切符だけを、検札機(Obliteratrice)でガチャンと刻印ティンブラーレ(timbrare)する。
トイレに行く。入口は駅の自動改札の様だ。1€(約135円)硬貨を入れると自動ドアが開く。この駅の施設で一番現代的だ。
駅中のキオスコ(Chiosco)で500mlの水を買う。0.8€(約110円)。
10番プラットホームで待つ。
短パン姿の欧米人の観光客らしい老人達が、我先にドアの前に集まる。
9:40 列車のドアのボタンが緑色に変わり、それを押すとドアが開く。
客車はドアのある中央部は低く、前後の台車のある部分は床も座席も高くなっている。
この高い位置にある座席に、何とか座れた。
10:05出発。
プーリア州(Regione Puglia)の町や村を、アドリア海に沿って南下する。途中、昨日発ったブリンディシBRINDISIの駅を通過する。
途中大きな火力発電所があり、そこから送電線が何本も伸びている。
12:11 レッチェ(Lecce)駅到着。
駅を出た人はタクシーに乗ったり、手をつないで歩きだしたり、あっという間にいなくなった。
私は駅前広場を渡って、駅から真っ直ぐ延びるViale Quarta通りの並木の入口にあるバールBARに入って、テラス席でクロワッサンとカプチーノを食べる。3€(約400円)。
人心地着いてからゆっくり歩き始める。
正直、昨日までどうしようかと迷っていた。バーリもペトゥルッツェッリ劇場(Teatro Petruzzelli)など素晴らしい建築物の多い、ゆっくり歩いてみたい港街だ。しかし、ここから直ぐの場所にレッチェがある。
レッチェLECCEは、イタリア半島の踵の部分、サレント半島に古代ギリシア以来の歴史を持つ旧い街で、街中がバロック様式の教会や家、建物で埋め尽くされている南イタリアで最も美しい街と呼ばれている。
苦渋の選択だが、この街を体験しない手はない。
< レッチェLECCEを観た!!>
旧市街へはViale Quarta通りを行き、周囲の建物を見渡しながら歩いている観光客と一緒に、細い路地を何回か曲がる。路地の周囲も装飾に彩られた建物が続く。
ドゥオーモ広場(Piazz gel Duomo)に出る。正面は高い尖塔と繊細な彫刻に装飾されたサンタマリア・アッスンタ教会(Cattedrale Santa Maria Assunta)。中も壁という壁にびっしりと彫刻や装飾が施されている。
広場に面したレストランでチーズのサラダを食べる。10.5€(約1,420円)。
アフリカ系の人が、路上でもレストランの中にも、ネックレスなどの装身具を売りに来る。
< レッチェLECCEで、迷った!>
昼食後は、あてもなく、地図も見ないまま街を歩き回った。どこを見ても装飾の多い重厚なバロック建築で立派なものだが、日曜日のせいか、街路を歩き廻る観光客はいるが、建物はガランとして人気がなく、生きた街と言うより建築物の廃墟の様な気がしてくる。次第にどこを見ても同じような建築に思えて来た。
レッチェで一番有名だと言われるサンタ・クローチェ聖堂Santa Croceは修理中で、正面にこのファサードはこんな姿ですよとわざわざ絵が描かれたシートで覆われていたが、さして残念な気もしなかった。
ユリウス・カエサルのゼラの戦いでの有名な言葉に、「来た、見た、勝った」(Veni,vidi,vici)と言うのが有るが、私もレッチェに、「来て、観た」が、手放しで「良かった!」とは言い難いし、楽しい体験だったかと言えば、正直迷う。
ここ何日かヨーロッパの街を歩いて来たし、この後もシチリア、ローマへと行くつもりだが、少なくも重厚な建物や門や石畳に今後も感動できるかと言われたら、迷うなぁ。旅行を始めて3週間、これらを受容する感覚が、体力と共に既に摩耗してきたのかなぁ。
すると旧市街の端に当たるのか、緑の並木にピンクの花をいっぱいつけた街路樹のある門に出た。旧市街をぐるっと取り囲むように廻っている大きなウニベルシエタ通り(Viale dell`Universita)に面して、門と、丸いドームのあるPorta Napoliだ。
久しぶりに緑を見た様な気がして、暫らくベンチに座ってほっとして休む。時折、そちらに観光バスの停まる駐車場でもあるのか、大通り側から観光客のグループが来て、門を潜って旧市街に入って行くが、それ以外殆ど人通りが無い。
喉が渇いた。しかし近くを見渡しても、飲み物が買える様な売店も見当たらない。
カフェかバールが無いかと、ウニベルシエタ通りを渡って旧市街を出てVia Tarantoを少し行くと、右手にカフェがあった。
「Old house café」でカフェラテを飲む。3€(約400円)。美味しい。しかし何故かすごく疲れた。
15:00になったので駅に戻ることにする。
iPhoneのバッテリーが殆ど無くなりそうなので、ウエストポーチの中で持ってきた予備バッテリー「Cheero Power Plus3」に繋いで、充電しながら歩くことにした。
駅の方向は分かっているので、Google Mapに頼らず歩きだす。
ウニベルシエタ通りを南に向かって真っすぐ行き、線路の手前で左折すれば駅に辿り着くはずだった。
しかし行けども、行けども線路の姿が無い。陽を遮るものが無い広い舗道を、無帽のまま歩き続けるのは辛い。
線路を行き過ぎる筈は無いので、そろそろかと住宅地の道を左折する。
周囲は2、3階建てで、1階には外に向かって窓の無い石造りの旧いアパートが続いている。この辺りは旧市街と違って住民の多くが住む普通の住宅地なのだろうが、日曜の昼間だからか、人気が全く無い。駅への道を聞こうにも人が居ないのだ。
歩き続けても周囲の風景がほとんど変わらないので、同じところを巡っているのではないかと気味が悪くなる。
旧市街の建物群に対する感情の迷いとは別に、本当に道にも迷っていないか心配だ。
炎天下の路を40分位歩いて、漸くレッチェ駅(Stazione Centrale FS di Lecce)を見つけた。疲労困憊だ。