歳をとっても旅が好き

海外ひとり旅の記録?いや記憶かな

ミャンマーひとり旅(2017年) <5> 3日目 タイのメーソートからミャンマー国境まで

<3日目―1>

2017年 5月24日 水曜日 メーソート 晴れ 暑い。

<タイ・メーソートに着く>
既に日を跨いで5月24日、水曜日の04:00ごろ。

起伏の大きな山中に、新しいハイウェイを作っている。暗い中で、その作業中の新しい道路の脇に延びた、曲がりくねった旧道を走っている。
昨晩バンコクを出発したバスはずっと北上してきたが、多分ターク(Tak)から西に向かい、今は国道105号線を走っているのだろう。
タークは、タイ族(thai)最初の王朝と言われるスコータイ(Sukhothai)王朝以前からモン族(Mon)が住んでいたという町だ。

次第に夜が明けて来て、雨も上がって来た。作っている道路には「AH1」の標識が立っている。アジアハイウェイ1号線だ。
1959年に国連のアジア極東経済委員会(ECAFE)でアジアハイウェイ計画が採択されてから、既に70年近く経った構想だが、いまようやく現実化されつつあるみたいだ。
2003年には日本も参加を表明したので、計画上は東京からトルコとブルガリア国境までが「アジアハイウェイ1号線」のルートと言うことになっている。だが実際に開発が進んでいるのは、東南アジアから南アジアへの道路だろう。
ホーチミン(Ho Chi Minh)、プノンペン(Phnom Penh)、バンコク(Bangkok)から続いて来た道路が、ミャンマーのヤンゴン(Yangon)まで続いて、更に何とインドのインパール(Imphal)からデリー(Delhi)の方まで行く予定になっているらしい。

6:00過ぎ、赤いスリーダイヤモンドのミツビシモーターの看板を右折して、トヨタ、ホンダのディーラーを過ぎて行く。こんな辺境の街にも日本メーカーが頑張って進出している。街の郊外らしい様子になって、漸くメーソート(Mae Sot)のバスターミナルに到着した。

夜が明けて、メーソートのバスターミナルが近づいて来た


<ソンテウで国境に向けて出発>

広い敷地に、大型のバスが数台停まって、反対側には小型トラックの荷台を座席に改造したソンテウ(songthaew)がズラリと並んでいる。人と荷物で荷台が溢れるほど満席になり次第、次々と出発して行く。

私はトイレに行って、ゆっくりとバスで出たサービスのパンでも食べようかと思ったが、まだ食欲が無い。
先を急ごうと、荷台にミャンマー人らしい母娘が乗るソンテウの運転席を覗き込んで、「Is this songthaew bound for border?」と聞くと、ドライバーが不愛想に頷いたので、荷台に乗り込んでバックパックを降ろした。
見つめる母親に、「This songthaew don`t leave until full?  Maybe to be late. 一杯になるまで出ないので、時間が掛かりそう」いい加減な英語と身振り手振りで困った様に話すと、そうだと頷く。

暑くならない前に国境を超えたいなぁと思っていると、小さな子供を連れた3人家族と、野球帽を横に被った高校生位に見える男とそのお姉さんみたいな若い男女が乗る。私と目が合うと微笑んで会釈した。料金の50THB(約180円)を徴収され、意外にも満杯にならないうちに出発した。

バスターミナルの構内

客待ちのソンテウが並んでいる

国境へ向かう道も綺麗に整備されている。ソンテウはようやく明るくなり始めた朝の中を、風を切って走る。暫くすると、また警察のチェックポイントで停められた。

私のパスポートは表紙を見ただけで返してくれたが、高校生みたいな若い男女が荷物共々降ろされ、連行されてしまった。
以前からミャンマー人の不法越境者や不法就労などを取締るため、タイの軍や警察によるパスポートチェックが頻繁に行われていると聞くが、厳しい現実に言葉を失う。
ミャンマー国境のタイ側を走るローカルバスでも、軍によるパスポートチェックがあるというが、私が乗ってきた長距離バスでも、メーソートに着く前にあった警察のチェックもそうだったのだろうか。
ソンテウは15分くらいで、国境のタイ側イミグレーションの直ぐ横で停車した。

<タイを出国・国境のモエイ川を渡る>
時刻は6:30を回っていた。再び肩から斜め掛けしたウェストポーチの中身を再確認して、大きなバックパックを背負って小さなサブザックを手に持つと、タイ側のimmigrationに入る。
タイ側はパスポートと、タイ入国時に飛行機内で書いた出国カードを見て、無事出国。
6:34、これからモエイ(MOEI)川に掛かる友好橋を渡る。

国境の橋の上から。タイ側

此処のモエイ川、ミャンマー側の呼び名ではタウンイン川(Thaung Yin)は、川幅も左程広くない川だが、川底が深い。岸の泥を削ぎ落して来た様な土色の水が、水面を光らせて流れている。
これから行くモウラミャイン(Mawlamyine)で、マルタバン湾(Gulf of Martaban)に注いでいる大河タンルウィン河(Than-Lwin River 旧サルウィン河 Salween River)の支流だ。

国境の川モエイ川