歳をとっても旅が好き

海外ひとり旅の記録?いや記憶かな

韓国ひとり旅(1997年) <23> 5日目ー2 大邱からソウルへ

<5日目ー2

1997年3月16日 日曜日 大邱 晴れ 、ソウル 晴れ

 

<大邱駅を出発>
改札の上にある発車標の電光掲示が、「8:44ムグンファ ソウル行 1ゲート」に変わると、改札が開いてハイキング姿の人達が皆入って行く。私も後に続いた。

1番ホームの8番の札の下で待つと、ディーゼル機関車に引かれた「ムグンファ号」がやってきた。釜山駅から首都ソウル駅を繋ぐ、「京釜線」(キョンブソン)の列車だ。

しかし、なんでソウルと釜山を結ぶ路線が「ソウル釜」線じゃなく、「京釜線」なんだろう。
今のソウルを京城(ケイジョウ、キョンソン)と呼称したのは、日本統治時代だ。この時代の呼称を嫌うはずの今の韓国で、何故いまだに「京」を使っているんだろう。
韓国国鉄の路線の呼称は、起点と終点の漢字を1文字づつとって名付けている様なので、それには、「ソウル」は純粋な韓国語で漢字表記がないので適さないのだろう。
それなら、朝鮮時代のソウルは「漢陽(ハニャン)」のちには「漢城(ハンソン)」と呼ばれていたので、「漢」の字でもよさそうだが。良く分からない。

「京釜線」の軌道は、1435mmのいわゆる「標準軌(standard gauge)」だ。前出の森崎和江の記述には、「京釜線は広軌」と書かれているが、これは日本では昭和中期頃まで日本内地の「狭軌」の1067mmが標準とされ、それより広いので「標準軌」を「広軌」と呼んでいたためらしい。現在の日本の新幹線も1435mmの「標準軌」だ。
因みに戦前、日本が進出した「外地」である中国の南満州鉄道も「標準軌」を採用していた。外地の方がみな内地より優れた社会設備を持っていた。

窓側の65番シートに座ると、列車は定刻どおり08:44に発車した。
車窓からは、低木や岩が露出したような山が連なった、日本のどこまでも緑の多い風景とは異なる韓国の田園の中を走っている。

 

<ソウル駅に到着>

12:20ソウル駅に着いた。京釜線で大邱、ソウル間は300Km弱らしいが、約3時間36分掛かったことになる。東京から名古屋まで大体350Kmなので、それよりやや短い位の距離だ。
ソウル駅は、大きいが現代的で無機質な釜山駅などとは違って、日本統治時代の1925年に竣工した、建物の真ん中に、四方に外光を取り入れる半円形の窓を穿ったドームが乗った、赤レンガの重厚でクラシカルな建物だ。
設計者は、東京駅を設計した辰野金吾の弟子、日本人の塚本靖(つかもとやすし)だ。

外に出ると昨日までの雨が上がって晴れたせいか、暖かく、明るい感じがする。またソウルは大邱とは比較にならない大都会なので、何となく外国人にも開放的な感じがする。

国鉄ソウル駅(観光案内より)



ソウル駅前で地下鉄1号線に乗り、No.52の鐘路(チョンノ)駅で降りる。
W400(約56円)。

通りの下に地下鉄が通っている鐘路(チョンノJong-ro)の北側に、目指すソウルYMCAホテルが見えた。想像していたよりはるかに大きな建物だ。
今度の旅では、終着点のソウルでの宿泊先は漠然とYMCA と決めていた。

漠然と言うのは、初めてのひとり旅で、韓国への渡航や初日の釜山での宿泊、行動については事前に日本でいろいろ調べたが、そこまでで頭がいっぱいの状態で、その後の行く先や宿泊や行動については想像が及ばない。大邱へ行ったのさえ偶然だった。
ソウルに至っては、帰りの飛行機の出るところくらいにしか考えていなかったのだ。

宿泊先は、最後の地なので気兼ねなくホテルが良いが、普通のホテルは高いし、予約もいるだろう。だったら学生時代、神田のYMCAの体育館を使っていたのでなじみもあるYMCAが良いかなと「漠然と」考えていた。

 

<ソウルYMCA>

YMCAの建物の中に入り、ここでは大邱での失敗に懲りて初めから英語で、フロントに「Excuse me. Can I get a room tonight?」と聞く。

若い男性のフロントマンは、カウンターの下で俯いて何やらチェックしていたが、おもむろに「Yes.」と。
良かったァ。考えてみれば不思議なことに、部屋がとれないことを想定していなかった。でもフロントが「Yes.」と言ってくれて初めて、何か妙に安堵しているのに気付いた。
「How much is the room charge?」と聞くと、W35,000/日らしい。
W35,000(約4,900円)払ってチェックインする。No.622室。

地下鉄の運賃は釜山と変わらないが、宿代は釜山のソウル荘(旅館)W20,000(約2,800円)、大邱のニュー大邱ホテルW25,000(約3,500円)、ソウルのYMCAはW35,000(約4,900円)とだんだん高くなってきた。しかし、ここではもっと高くても断るつもりはなかった。あとのことは全く考えてもいなかったので(笑)。

YMCAの部屋は、狭く飾りのない、簡素なシングルベッドの部屋だ。寝ると背中から温もりが伝わってくる、あのオンドルパンが懐かしい。
部屋に荷物を置くと、コートを脱いで外に出た。

 

鍾路のYMCAホテル(観光案内より)

YMCAの部屋 簡素なシングルルームだ