歳をとっても旅が好き

海外ひとり旅の記録?いや記憶かな

韓国ひとり旅(1997年) <14> 2日目ー7 中武路 明日は麗水(ヨス)へ

<2日目ー7
1997年3月13日 木曜日 釜山 曇りのち雨

 

<忠武路(チュンムロ)>

中央路(チュンアンノ)から名を変えた忠武路(チュンムロ)まで出て、この下に広がるコーロン地下街に入った。暫らく歩いたが疲れたので、再び地上へ出て、忠武路沿いの洋品店の二階の喫茶店に入った。

店内は広く、あまり装飾の無い簡素な造りで、3人の若い男のいるカウンターを抜け籐椅子のテーブルに座った。

通り沿いは一面ガラス張りで、午後の翳った日差しが射している。

少ない客の殆どがガラス越しのテーブルに座っていた。私は足を投げ出すと、疲労で感覚がないようだった。

注文を取りに来た若い男性に、「Coffee.」と言うと「コピ?」と言って戻っていった。マクドナルドでもそう言われた。自分の発音が悪いのかなと思う。

テーブルの上にガイドブックを広げて、明日の予定を検討していると、コーヒーが運ばれてきた。マグカップにスプーンが入っている。昼のピザ屋も同じだったが、韓国の喫茶店はこうしてだすものかと思った。コーヒーは薄いアメリカンだった。

 

<明日は麗水(ヨス)へ>

明日は麗水(ヨス)へ行こうと思っている。麗水は朝鮮半島の南、全羅南道(チョルラナムド)、麗川(ヨチョン)半島の南端部にある港町で、釜山から沿岸フェリーが出ている。リアス式海岸で綺麗なところらしく、一帯は国立公園になっている。日本人観光客のあまり行かぬ所、バスや鉄道でない交通機関が利用出来ることが、ここにした大きな理由だった。

海の側の小さな町で、潮風に吹かれてなすこともなく佇んでいるのは、至福の様な気がした。

麗水(ヨス)

麗水の観光案内

 

ガイドブックに依れば、沿岸フェリーターミナルから出る「エンゼル号」は、朝9:10と昼の14:00の出航がある。所要時間は3時間30分。高速バスも殆ど同じくらいらしいが、費用はW22,140(約3,100円)でバスのW5,070(約710円)に比べ4倍も高い。大きな出費だが、船に乗るという非日常も魅力的だ。

しかも、最終的には帰国便の出るソウルまで行かなければならないが、麗水からはソウルへのバス便も頻繁に出ているらしい。

釜山のインフォメーションセンターで貰った無料マップによれば、優等高速バスは1時間20分間隔で出ており、値段はW16,200(約2,268円)。直行高速バスは55分間隔で、W10,800(約1,512円)。所要時間はいずれも同じで、5時間50分らしい。

 

私はこの旅行に出てやたらと倹約家だが、それは安価でも魅力的な旅行ができることを知ったからだ。本来の私はむしろ金銭に無頓着な方かもしれない。しかしそんな旅行を続けているうち、ふと気付くと、安くなければいけない、高いことがそれだけで罪悪のような気になってくるから不思議だ。安く旅行をすることが目的の様になっているのに気付き、驚くことがある。

これは、一人旅ではお金だけが頼りだから、自然吝嗇になってしまうと言うより、W20,000の旅館代や、1時間乗ってもW800のバス代などの小さなお金だけで営まれている生活に対する一種の尊敬で、同じ距離を移動するのに4倍もの金を使うことは、この健気な努力を足蹴にするような後ろめたさも覚える。

しかし麗水から最終目的地のソウルまでは、バスにしろ鉄道にしても内陸を行かなければならないし、どの都市に行っても足繁く名所旧跡を訪れるはずもないので、移動しながら風光明媚な海岸を船で見物できるのは金銭に代え難いものがあった。高くとも、フェリーで麗水まで行こうと思った。

しかし財布を見ると、手元にはW26,000しかなかった。これではフェリーの切符も買えないし、今晩の夕食も食べられない。トイレに行って腹巻からパスポートとトラヴェラーズ・チェック(T/C)を取り出すと、レジでW2,500支払って外に出た。

 

通りを少し「チャガルチ市場」方面へ行くと、左手に玄関を工事中の「農協中央会 ノンヒョプ・チュンアンフェNATIONAL AGRICULTURAL COOP. FED」 があったので、足場のテントの中を奥へ入っていった。

ここで両替ってできるかなぁと半信半疑ながら、カウンターの女性に「Money Exchange, please!」と言って、T/Cとパスポートを出した。

すると相手が拒否しない様なので、カウンターの上でT/Cを広げ、¥20,000分にサインして渡すと、暫らく待ってくださいと言う様なことを韓国語で言われた。

後ろの椅子に座って待つと、暫くして両替されたW140,694を渡された。昨日より安くなっている。
金海空港内の両替所では、2万円でW142,992だった。まさか市中の金融機関の方が空港内よりレートが悪いなんて、予想もしていなかった。

農協中央会で3回目の両替 だんだんレートが悪くなる。

 

釜山市庁舎を過ぎ、ロッテ地下街へ入る。左右の商店を眺めながら「中央洞」まで歩き、外に出た。空が曇ってきており、日の暮れと重なって、辺りは薄暗くなっていた。角のコンビニ「LG25」で、ミネラルウオーター(W700 約98円)を買って宿に帰った。

暗い階段を上がり、フロントで主人から鍵を貰う。何処に行ったのかと訊かれ、「竜頭山公園」に行ったと答えた。部屋に着くまで誰とも会わなかった。

整えられた布団の上に寝ころぶと、洗濯の匂いがする。体が疲れて暫く起きあがれなかった。