<旅の準備ー2>
1997年10月31日(金)晴れ
<旅の持ち物、お金、保険>
持ち物は、測った訳ではないが、手持ちの30L程度と思うMilletのサブザックに入れていく。
大きなバックパックにしなかったのは、そんな長期の旅行ではないし、ましてや放浪するつもりもない。テント泊の山登りでもないので、なにも可にも持っていく必要もないかと思っていた。第一、インドには日本と同じ様なものがあるのか、何が無いのかも全く見当がつかない。
そして何より、山に行かなくなって久しいので大きなバックパックは持っていないし、トランクも無い。結局、手元に在ったサブザックに、これに入るだけの荷物を持っていくことにした。
着替え一組、洗面道具、ガイドブック、英単語帖。そしてメモ帳。薬は結膜炎防止用の目薬とビオフェルミン。
「インド放浪」の本に良く書いてあるシュラフ(寝袋)は持っていかない。持っているのはハーフのシュラフだけだが、それでも量になってザックに入らない。
ガイドブックによれば、現地へ持っていくお金は盗難や紛失防止のためT/Cトラベラーズチェックと、少しの米ドルの現金が良いと書いてあった。
日本円の両替は難しいそうだ。
銀行に行って、窓口で米ドル建てのMaster CardのT/Cを作り、米ドルの現金も両替する。
T/Cは、全てのページの片方(所有者欄)だけに自分の名前を書き込んでおく。使うときには連署欄に同じ名前のサインを書いてから、使う分だけ切り離して使用するらしい。
良くアメリカの映像などで、買い物に小切手(チェック)を使用している光景を目にするが、自分があんな風に使いこなせるんだろうか。そもそもインドで、町の食堂や鉄道の切符を買うときに、T/Cなんか受け取ってくれるのだろうか?
海外旅行傷害保険は、成田空港の出発ロビーにある保険のカウンターで手続きすることにした。
<インド大使館でVISAを取る>
航空券は取った。あとは、インドのVISAだ。
インドに行く殆どの観光客は、多分だが、旅行代理店にビザの取得を依頼するだろう。西新宿の旅行代理店の人にも聞かれたが、しかし今回私は、自分でインド大使館に行って、ツーリストビザを取得することにした。
理由は、もちろん自分でやってみたかったからだ。
10月31日(金)AM9:30、千代田区九段南2-2-11にあるインド大使館で、VISAの申請をする。
会社を午前半休した。
地下鉄東西線の「九段下」駅を降り、靖国通りの九段坂を上る。靖国神社の大鳥居が見えたら、北の丸の御堀に沿って千鳥が淵方面に左折すると、すぐ右手に駐日インド大使館があった。
時間帯が早かったのか、まだ出勤してくる大使館員の間を抜け、敷地内左手の「VISA」と張り紙のある部屋に入って行く。
中は病院の待合室のようで、入口左手のカウンターに向かって沢山の椅子が並んでいる。
カウンターには3つの窓口があり、左は「旅行会社申請」、真中が「個人申請」、右手は何も書かれていない。
既に何人かいる椅子に座った人は殆どが旅行代理店の人らしく、手に沢山の申請書とパスポートの束を持っている。
置かれた申請用紙に記入して、パスポートと用意して来た写真二枚を持って並ぶ。VISA申請のあらましはガイドブックに出ていた。
20分くらい待つと、真中の窓口に呼ばれ、30歳代くらいの日本人の女性に「会議に出席されるのですか?」と聞かれた。
私は申請書とおり「観光です」と答えたら、怪訝そうな顔をされたが、それ以上は聞かれなかった。
平日の午前中から背広姿の男性が、個人の観光旅行の為にVISAを自分で申請に来る事が意外だったのかも知れない。
申請費用は、¥3.600円。
現金で¥4,000円出したが、途中からお釣りがありませんと張り紙が出され、お釣りをもらうまで暫く待っていた。
ビザの交付は11月4日の16:00~16:30の予定だと。
VISA交付日当日、今度は会社に午後半休をとって、再びインド大使館を訪れ、マルチプル(MULTIPLE 再入国可能)VISAのスタンプが押されたパスポートを受取った。
有効期限は、1997年11月4日から1999年5月3日までだった。
VISAをシングルでなくマルチプルにしたのは、他意があった訳ではなく、何らかの理由で再入国が必要になった時の対処のためだ。
これでようやくインドへ、本当に旅立つ準備が出来たわけだ。でも一方で、まだ怖気付くような気持ちも残っているなァ。